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さあ、1年間で一番星空の美しいシーズンがやってきました。 澄み渡った空に贅沢なほどに1等星をちりばめた星座が君を迎えてくれます。 でも、今回の主役は月です。月齢4、三日月の次の日の月。きれいだよ〜。是非一緒に感激したいと思います。 この活動は保護者やご家族の方の参加を歓迎します。防寒には十分注意して美しい星たちの観察をしましょう。 そして恒例になったいそぎんの暖まる+αもお楽しみにね!
11月活動 施設見学 みらい館
11月21日(日)、日本科学未来館まで行ってきました。知らない間にいろんな電車の線ができていてびっくりしました。 そしてお台場のフジテレビを横目で見ながら行きましたね。
江の島から消えたかアリドオシ
運営委員 鈴 木 照 治
ある年の暮、テレビを見ていると、東京生花市場で、今売れ筋の花の紹介をやっていました。 それは、正月の鉢物として江戸時代からの、「千両、万両ありどうし」のしゃれで、 その3種類を寄せ植えしたものが出荷されているところでした。 千両と万両は今でも切花、鉢植え、和風の庭でよく見かけますが、アリドオシは近頃ほとんど見られません。 小さなアリをも突き通すような絹針より細く、鋭く長いトゲを持つ1cmほどの丸い葉を多数つけた小さな常緑の木です。 生えているところは暗い林の中で、やや乾燥気味の日陰です。家の庭でも、庭木の根元など半日陰で元気よく育ちます。 以前は、近隣の山でまだ自生を見かけました。 江の島でも、20年ほど前まで、奥津宮裏手の急斜面に、スダジイ林の下草としてホソバカナワラビとともに、 元気な姿を見せていましたが、今行ってもそこにはありません。 アリドオシは本来、台地上の乾燥気味の立地に成立する自然林(ホソバカナワラビースダジイ群集の典型亜群集) を構成する比較的数少ないメンバーの一員と考えられ、この植物の自生を許す場所は、今では極めて限られた場所になってしまったと思われます。 近ごろは、自然に近い林に出くわすたびに、アリドオシをさがしますが、いつも空振りに終わります。 ところが、先日、浦賀街道(黒船を見に竜馬が通った)を歩いた帰りに、神武寺(古代の勅願寺)に立ち寄ったところ、 薬師堂山門近くでアリドオシに出会いました。 3〜40年位前までなら、どこの樹陰にもある、きわめてありふれた植物だったと記憶しています。 近所のネコが、わがもの顔に、庭に侵入するのを、けん制するためにも、細く鋭いトゲは極めて有効なのではないかと思われます。 アリドオシは「一両」ともいわれ、始めにふれた、めでたい組み合わせと、日陰に適した性質から、千両、万両、ヤブコウジ(十両)とともに、 現代の日陰の植栽にもっと採り入れてもよいのではないかと思います。 さて、昭和26(1951)年、片瀬中学校科学部のまとめた「かわいい科学者」による江の島植物一覧には、アリドオシはなく、 よく似たジュズネノキが入っています。 20年ほど前、私と松本先生が見たのはアリドオシではなく、トゲの短いジュズネノキであったかもしれません。 最近数回その場所に行って探してみたのですが、どうしても見つかりませんでした。 この10年ほどの間に、藤沢市内で、以前あった大木が姿を消しました。 一方、公園などでは植えられた木が10年、20年経ってかなりの大きさに成長した姿も見られます。 もっと前から植えておけば、今頃もっと大木に育っているはずですが、景気がよかった2〜30年前、木が植えられることはありませんでした。 森の木が少しずつ失われる中で、アリドオシのような小さな木が住みにくくなったのだと思います。 今、残っている森にアリドオシがもどって来てほしいと思います。 そして、江の島では、もっともっと、ごくありふれた植物になることを期待しています。
レア・アースの話題
運営委員 鈴 木 照 治
昔、宮沢賢治原作「風の又三郎」という映画を見ました。 主人公のお父さんは鉱山の技師で、希少な金属の鉱物を求めて東北の山奥まで、三郎少年を連れて調査に来たことになっています。 その頃の先生の話でも、鉱物は秋田、金属は仙台の学校で教わるのだということでしたから、鉱物のことを調べに行くこの夏の活動は、 私にとって少年の頃のメルヘンの世界を思い起こさせるものでした。 さて、夏活動の第一日目に、石川町役場のすぐ隣にある資料館に行きました。 巨大な電気石や柘榴(ザクロ)石を見たあと、鉱山の歴史のコーナーがありました。そこまで見学する人は少なく、ゆっくり見られました。 そこでは、100年前から、ペグマタイト鉱床に伴う色々な珍しい元素を含む鉱物が多数発見され、その後、そのそれぞれが日本の各地で見つかって、 日本の希産鉱物研究の端緒となったのが、この和久観音鉱山や石川地区産の鉱物ということでした。 江戸時代に栄えた日本の金山や銀山は明治の始めにはなくなりましたが、明治時代にあった多くの鉱山は40年位前まで続き、 そこで採算が合わずに廃止され、以後は外国産に頼ることになりました。 それがこの9月とつぜん、輸入がストップされ、にわかにレア・アースの名前がニュースに出たわけです。 小学校の頃、すべての物質は、動物、植物、鉱物の三つに大別されると習い、昔、テレビの無い時代、ラジオの人気番組「二十の扉」のような、 鉱物に属する身近なものを連想してあてるゲームがありました。 あまり知らない鉱物が、身近なところで役立っているのを聞かされるたびに、不思議な思いにさらされたものです。 今、レア・アースを利用したものが身近にあふれる時代になりました。身近に役立っている鉱物に、もっと興味や関心を持つべきです。 鉱物の種類が思いのほか多いのは、それぞれの鉱物が、それぞれ異なる元素の組み合わせをもち、それぞれ結晶の仕方も違うからですが、 その結晶の違いは、結晶のできるときの環境(温度、圧力等)のちがいによるものだということも、あとから知るようになりました。 鹿児島先生の受け売りですが、マグマが冷えて結晶ができては融け、また結晶とくり返す(岩しょう進化)の過程で、 ありふれた元素の化合物は多数集まって結晶し鉱物になりますが、ごく少数しかない元素は仲間はずれになって寄り集まり、 珍しい希産鉱物ができるのです。この希産鉱物に含まれるのがレア・アース・メタルです。 石川のペグマタイト鉱床が、日本のレア・アース研究の起点になったというわけです。 中学生の頃、昆虫やその食草の植物にしか興味の無かった私には、鉱物ばかり探して喜んでいる同級生を軽んじていましたが、 今思えば、なんと浅はかだったことでしょう。 (*エレメントランプを見ていると、周期表をくれました。帰りのお土産店では300円で売っていました) 中味の何にもない思い出話でしたが、レア・アースについては、そのうち高木先生にお願いしてみようと思っています。
日本の出番だ 標準化のしごと
運営委員 道 上 定
竹炭といえば、今から130年ほど前のことですが、京都の八幡村(当時)産のマダケを細かく割いて炭焼きして喜んだアメリカ男がいます。 その男の名前はトマス・アルバ・エジソン。 すでに木綿糸を炭化した「炭素フィラメント電灯の特許許可はおりていたのですが、電灯の寿命をもっと延ばしたかったのです。 そこで竹の利用となったわけ。 なにしろ鉛筆の芯ほどの太さですから「サイシン」の注意をはらって取り扱わねば、すぐに折れてしまいます。 大の男がほそい糸のようなフィラメントを相手に、静かに格闘している姿はなんとも愉快ではありませんか。 エジソンは目的のためには何でもするタイプ。だから発明王になれたのでしょう。 じつは電灯の開発は、発電から送電、電灯照明、そして電飾まで、今でいう発・送電網(パワー・グリッド)の構想を持っていた、 その末端の一つでした。フィラメントが切れたらすぐに取り替えできるように口金は「ねじ込み式」。いまのE26タイプ。 26は口金の直径、Eはエジソンに由来します。他には一時エジソンに協力したスワンによる「差し込み式」があります。 差し込んで90度まわして固定する方式。プリントゴッコのフラッシュ・バルブがそれです。 発電機についても大きな成果をあげつつあったのですが、彼は直流推進派。 ほどなく入ってきた交流派のニコラ・テスラと衝突、テスラは2年で去っていきます。 テスラは交流インダクタンス・モータを作り、商用交流発電システムを最初に完成させた人。 物理の教科書に磁束密度の単位としてテスラがでてきます。 最近、トヨタと電気自動車のテスラ・モーターズが提携した、との報道が流れました。 テスラもスワンもエジソンに劣らず科学・技術のすそ野が広い人たちでした。 その後タングステンが炭素の3倍ほどの効率を持つことが分かって、いっきょに寿命も明るさも進歩し、 その他の日本の技術も大きな力になり、現在につながっています。 その白熱電球の製造は、我が国では東芝の照明事業の草分け・白熱舎が120年まえ、日産10個位ではじまりました。 東芝の資料によれば、最盛期の昭和48年(1973年)には年間7800万個も生産。 その間蛍光灯(直管)も開発されたのですが、はじめは点灯まで時間はかかるし、点いてもボヤーとしてるし、 「まるでケイコウトーのようだ」と椰楡され、評判はいまひとつ。が、消費電力で明らかに白熱電球よりまさっています。 それから、サークラインタイプ、電球タイプと次ぎつぎに開発され、改良が重ねられて、格段の商品に仕上がっているのです。 そして今、白熱電球は製造中止の方向です。 地球温暖化防止に向けた省エネ、二酸化炭素削減のニーズがいよいよ高まってきたなかで、LEDの性能が飛躍的に良くなってきたからです。 LED電球は十分に実用の域に入っています。あとは価格の面だけ。 もっともLED電球の設計寿命が40000時間と聞けば、あまり無理は言えませんが。 一般白熱電球が1000時間、電球形蛍光ランプが6000時間となっていますからね。 直管形のLEDランプについてはすでに外国で検討・製品化されていますが、デリカシーにかけていると言うか、細かいところが行き届いていません。 安心・安全設計になっていないのです。欧州照明器具工業会(CELMA)や、米国エネルギー省(DOA)の委員会報告では、 ランプの性能評価を行い、光出力、光色、配光特性などが不十分な性能で、蛍光ランプの代替えとして推奨しない、としています。 日本の出番です。技術力はあるのです。デリカシーもあります。構成力・組織力もあります。ないのは地下資源、説得力そして情熱、です。 新聞報道によれば、国連環境計画が1日、メキシコで行われている「気候変動枠組み条約締約国会議」(COP16)で、 次のように報告しました。 「電力の19パーセントを消費している照明器具につき100カ国を調べたところ、 エネルギー効率の悪い白熱電球が売り上げの半分以上を占めていた。 これを電球型の蛍光灯やLEDなどに置き換えれば、電力消費の2パーセント以上を削減でき、 二酸化炭素の排出量を少なくとも1パーセント削減できる。」 日本の得意とする分野ではありませんか。「新型口金付き直管形LEDランプシステム」が日本電球工業会でこの10月制定されました。 どうか、国際競争力のあるものに育てるため、フンバッテいただきたい、そのように強く思います。標準化の仕事は日本の役割です。 ■お知らせ■
□来年度の在・退団について□
運営委員会では来年度の新入団員募集数の確定のため、現団員対象に 「来年度も引き続き団員として活動するか、退団するか」についての意思確認を行います。 近日中に「意思確認書」を郵送しますので、今年のこれまでの活動を振り返りながら、来年度はどうするのかについて相談してください。 今年は113名での活動でしたが、安全で内容の濃い活動にするためには少し人数が多すぎました。 そこで来年度は80名前後まで団員数を絞りたいので、次に挙げる内容をよくお考えいただきたいと思います。
なお、意思確認書の締め切りは12月21日(火 消印有効)を予定しています。 遅れますと自動的に退団扱いとなってしまいますのでご注意ください。 ■お知らせ■
□夏季活動特集号について□
お待たせしました。本日の活動で配布しました。是非友達の文章をたくさん読んでくださいね。 ■お知らせ■
□原稿をください□
いつもお話ししていますが「かたつむり」では常時原稿をお待ちしています。 活動についてでもまったく違うことでも何でもいいのでぜひ原稿をお送りください。 もちろん保護者の方からでも大歓迎です。よろしくお願いします。
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