このレポートは、かたつむりNo.540[2024(令和6)07.07(Sun)]に掲載されました

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富士山の生い立ち
運営委員、いそぎんちゃく 藤本 俊二
 
 来月はいよいよ、みんなが楽しみにしている夏季活動!今年のテーマは富士です。 天気の良い日だと、藤沢からでもよく見える富士山。そのスケールの大きさには感動してしまいますよね。
 そんな富士山ですが、何回かの噴火を繰り返して、今のような雄大な姿になりました。 今回は現在の富士山の形になるまでの生い立ちを振り返ってみます。

(1)土地の隆起
 今からおよそ2500万年前の新第三紀の時代に堆積した海成層が干しあがって土地が隆起して陸化する。

(2)小卸岳(こみたけ)火山の時代
今から70万〜20万年前に現在の富士山のやや北側に小卸岳火山が、 そして、南側に愛(あし)鷹(たか)火山が誕生。


(3)古富士火山の時代
 約10万年前に小卸岳火山の中腹で噴火が起こる。 この噴火は爆発的な噴火を繰り返し、大規模な火砕流や土石流を噴出。 少なくとも5回の山体崩壊を発生させ、古富士火山を形成した。 この時の溶岩は安山岩に近い玄武岩のようであった。

 古富士火山の後期では、テフラを噴出していく。 そして、古富士火山のマグマがなくなりはじめ、代わりに別の化学組成(玄武岩質)の新しいマグマが地下から上昇してきた。 これが新富士火山のマグマです。


(4)新富士火山の時代
 約1万年前に古富士火山を覆うようにして新富士火山(現在の富士山の形)が本格的に活動を開始。 新富士火山の活動期は大規模な溶岩流出があった旧期と中小規模の溶岩流出の中期・新期に分けられます。

 新富士火山の溶岩は粘り気の小さい(サラサラした)玄武岩質(黒っぽい石)の溶岩を流し、約1万年前〜8千年前には、 静岡県三島市や山梨県大月市付近まで到達するような、たくさんの溶岩を流出させました。


 このように富士山はいくつもの時代を乗り越えて、今の形になり、3階建て構造になりました。 地形図の下側には目には見えませんが、小卸岳火山、古富士火山があります。

 富士山の生い立ちを想像しながら、今日の活動で作った立体地形と夏季活動本番で富士山を眺めてみると、 富士山の雄大さをさらに感じるかもしれないですね。


<参考引用資料>
@ 「〜富士山のことをもっと知ろう〜 富士山火山防災ハンドブック−富士山って、どんな火山?−」、 小山真人監修(2003年)
A 「資料集−富士山大沢崩れ」、 国土交通省中部地方整備局富士砂防工事事務所(2001年)
B 「東海大学海洋学部海洋資源学科2003年度卒業論文 静岡県富士宮市二子山周辺地域における地質〜溶岩とテフラの分布について〜」、 相馬伸介、藤本俊二著(2004年)


参考引用資料のBに注目!著者に「藤本俊二」の名が!そう、藤本先生が大学時代に執筆した卒業研究論文です。

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