このレポートは、かたつむりNo.346[2010(平成22)10.24(Sun.)]に掲載されました

戻る

金沢に行ってきました
副団長 石 井 幹 夫
 
末浄水場の緩速沈殿池
末浄水場の緩速沈殿池
 10月活動の前の日、金沢に行ってきました。この日金沢では末浄水場で水道通水80周年記念事業があり、ちょっと縁があり参加してきました。
 80年前(昭和初期)の水道、いったいどうやって水を作っていたのでしょうか。
 記念式典が行われた末浄水場では現在でもこの方法で水を作り続けています。その方法とは「緩速ろ過」です。
 水道の浄水方法は大きく「緩速ろ過」と「急速ろ過」の2種類あります。藤沢などに配水する寒川浄水場では急速ろ過方式で浄水しています。

○急速ろ過とは(三原市水道部HPより)
  1. 凝集剤としてPAC(ポリ塩化アルミニウム)を原水に加えます。
  2. 急速攪拌で水と凝集剤を混ぜ合わせます。
  3. 緩速攪拌でフロックという大きな固まりをつくらせて,沈殿・ろ過でこれを除去します。 また,水酸化アルミニウムのフロックに濁質が凝集して一緒になって沈殿します。
  4. さらに上澄みを粗めの砂で急速ろ過して残りの微細フロックを完全に除去します。
 この方式は,汚れが激しい水に対してもそれなりに対応することができ,また狭いろ過面積で時間当たりの浄水能力が高いため,大規模都市での浄水に適しています。

急速ろ過とは
急速ろ過とは
○緩速ろ過とは(三原市水道部HPより)
 細かな砂の層に1日4〜5mのゆっくりとした速さで水を通します。 緩速ろ過とは
ゆっくりと流すと砂層に存在する微生物の分解作用によって水の中の浮遊物などを取り除くことができます。また,同時に細菌やいやなにおいなども一緒に除去できます。
 この方式は,自然で行われていることを人工的に再現しているものです。薬品を使わず,自然にやさしい浄水であり,おいしい水をつくることができます。
 しかし,この方式は水をつくるのに時間がかかります。また,大きなろ過池が必要なため広大な土地を有することや,原水がきれいである必要があります。
 このように、急速ろ過は化学の力(薬品)を使って原水をきれいにするのに対し、緩速ろ過は生物の力を借りています。
金沢の水
金沢の水
 緩速ろ過は塩素以外は薬品を加えないので一般においしい水になっています(塩素は法律で必ず加えなくてはいけません)。
 金沢市ではこの緩速ろ過で作った水道水を「金沢の水」と命名しペットボトルに詰めて販売しています (ペットボトルに詰めた水には塩素の殺菌の必要がなく、本当においしい水でした)。うたい文句は 「世界都市金沢」の自然・歴史・文化を育んだ犀川の流れ、 この聖なる白山に端を発する清れつな原水で製造された「緩速ろ過水」のまろやかな味わいをお楽しみください。 でした。
 また、この末浄水場は平成22年2月、稼働中の水道施設としては全国で初めて国の名勝に指定されています。 もし金沢に行くチャンスがあったらちょっと立ち寄ってみるのも悪くないと思います。なお見学には予約が必要です。 そのときは「藤沢の石井に聞きました」と言っていただければスムーズに事が運ぶと思います。


参考
金沢市公式ホームページ「いいねっと 金沢」:末浄水場の緩速沈殿池(すえじょうすいじょうかんそくろかち)等
 http://www4.city.kanazawa.lg.jp/11104/bunkazaimain/shiteibunkazai/tourokubunka/suejousui.html
三原市水道部:緩速ろ過方式について
 http://www.mihara-waterworks.jp/topics/kansokuroka.htm
金沢市企業局:金沢の水
 http://www2.city.kanazawa.ishikawa.jp/web/kanazawawater/index.html


戻る