このレポートは、かたつむりNo.254[2004(平成16)3.21(Sun.)]に掲載されました

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王様と恐竜との間
運営委員 道 上   定
 
 最近はニューイヤーコンサートで新春を迎えるのですが、 一月も下旬にドイツ・グラモフォンからCD 売り出されました。 これまた恒例により購入。 02年の小澤征爾のときは「いよいよ新年だあ!」との思いで昂揚しましたが、 今回のリッカルド・ムーティ指揮の録音は淡々とこなされており、 「新年でございます」とお行儀のいい構成で拍手などもきっちりしておりました。 ま、今年はそんなわけで「まあ、いいか」、「中くらいなりおらが春」。
 喜歌劇『女王陛下のハンカチーフ』序曲もCD2枚目の最初に入っていますが、 国王と女王が仲直りする場面でトリュフ(きのこ)が出てきます。 トリュフの二重奏が、この中にある「南国のバラ」のワルツだ、と名曲解説全集での保柳健氏の説明です。 作曲のヨハン・シュトラウスU世は19歳で音楽家に『加速度』とか『溶岩流』などというワルツも作曲しました。 ウィーン大学工学部の学生舞踏会のためだとか。 弟のヨゼフ・シュトラウスは『天体の音楽』を医学生舞踏会のために作っています。
 トリュフはフォアグラ、キャビアとともに世界三大珍味といわれ、高級フランス料理に用います。 わたしは、食べるとおそらくおなかをこわすので食べません(食べたことがない!)。
 狂言にだって『附子(=ぶす)』もあれば『蝸牛』もあります。ずばり『菌』もあるのですよ。 「くさびら」と読んで「きのこ」のこと。 山伏ものですが・狂言ではめずらしく15人もの役者がゾロゾロと出てきます。それも子供キノコ。
 ついでだけど去年5月、川地先生の指導で「ティラノサウルスの復元画に挑戦!」しましたね。 その前の4月、国立能楽堂で『スーパー狂言・王様と恐竜』を観ました。 能楽堂開場20周年記念特別企画公演だったのです。 伝統古典芸術なのに、お豆腐狂言をはばからない茂山千作に哲学者の梅原猛脚本、 千之丞が演出、美術・装束をデザイナーの横尾忠則。 千之丞が身にまとう「恐竜トットラーザウルス」について横尾は 「常軌を逸した大きい装束になった。恐竜は身体の割に手が短く小さいので、 演者の手が自由に動かないような作りになっている。 その方がいかにも恐竜の動作に近くなるからだ。」といいます。
 特別観覧席に梅原猛さんと並んで横尾さんがいらっしゃたので、 了解を得て写真を撮らせてもらいましたが、確かにワクからはみ出てしまう人だなあ、と思いました。
 さて、この『王様と恐竜』パリで4月に上演されることになりました。 たぶん大きな反響を呼ぶでしょうから内容についてはここでは触れないでおきましょう。


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