このレポートは、かたつむりNo.284[2006(平成18)4.16(Sun.)]に掲載されました

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さあ、外へ出よう!
運営委員 道 上   定
 
 この4月20日は24節気でいう「穀雨」です。低気圧や前線が次つぎと雨をもたらし、 いろんな植物の若芽が伸び出します。「春色価千金」で、こんなに多く緑色の種類があったのか、 とおどろいてしまいます。
 驚きの中には嬉しさも混じります。
 フキノトウ(蕗の祖父=ふきのじい)もおひたしにしてほろ苦さをいただいたし、 ツクシも花粉症にはいいんだって、とかなんとかいいながら、たまごとじにしておいしかったし、 3月末にはクコの若芽もごま和えにしていただきました。 てんぷらでユキノシタもドクダミも胃の中へ収まりました。なんだって頂いちゃうのです。

 この前のおもちゃの病院の反省会で 「近ごろ集積回路を利用したおもちゃが増えて修理が難しくなってきた。 音もモータもlC制御でそこが壊れているとどうにもならない」。 「だいいち、修理を考えてのおもちゃにはなっていないよ」などと愚痴ばかり。もう10年ひとむかし。 そりゃそうだ、みんなすっかり年を取りました。
 励まそうと思ってか、担当の職員が「ソフトせんべい」だったら入れ歯でも大丈夫ですよ、 と勧めてくださる。最近「ぬれ煎餅」が評判なんです、と真顔で話す。 たしかに「ぬれ甘納豆」があるのは知ってはいるが・・、湿気ていたり、 グニューとしているなんて締まりがないじゃないか。 どうせなら「コーレーシャせんべい」とかつけて売ったら…と提案したら高齢者一同 「売れるかよ!」。

 その日の夜、お茶受けに「エビかきもち」 (近所からのいただき物で、これも偶然にソフトせんべいでした!) を食べながらビニル菓子袋の原材料名や栄養成分表を読んでいると[ご注意]の欄があって 「製品中に小さな黒い点がみられますが、これは使用しております海老の目です」とある。 なに、エビの目。さっそくルーぺを取り出し、のぞく。 海老はすでに気づいていたらしくルーべのピントがあったとき、 こちらを黒い目でにらんでいた(ように見えた)。ギョッとした。ご注意の欄棚は続く。
「安心してお召し上がりください」。
 そう、にんげんは他の生き物を食べているから生きていけるのです。 つい他の生き物の「パーツ」(部分)をさしみとして(さしみは刺身)食べています。 生きている場から食卓までの間が抜け落ちていて考えられなくて、いきなり「おいしい〜」です。
 私が小さかった頃、たまごは病人への貴重なお見舞いの品でした。 ニワトリといったら、年に1度か2度、めでたいときなど年長の者がしめて捌いて料理としたものです。 小さい子どもの私は飼育担当として今朝までエサをやっていたにわとりが夕方にはとり肉です。 最初の一、二回は料理にとても箸はつけられませんが、次には泣きながら、その次には、…でもうまい、 と思いながら食べたものです。何だかもったいなく、しかもおいしい。それが実感でした。 「いただきます」「ごちそうさまでした」はそこからきています。
 それが今、途中が見えなくなってきました。中間領域を見せなくなったし、見なくなりました。
 科学少年団団員は次の1つでも2つ、3つでもいいから、とにかくやってみてほしい。 できればゆっくりと、前後を想像しながら。

@日の出をみる。
A夕日が沈むのを見る。
Bなべでご飯を炊く。
Cアジの開きをつくり干す。
Dホットケーキを作る。
E山の頂上でできるかぎりの大声でオーイとさけぶ。できれば3度。
Fおしくらまんじゅうをやる。
G木登りをする。
H腕ずもうをする。
I竹トンボを作って飛ばす。
Jいろんな海岸の砂をガラスびんに入れて眺める。
Kネジバナの1つの花を写生する。
Lカブの花を咲かせる。
Mアサガオのつるを右巻きから左巻きに巻かせる。
Nなまたまごをテーブルに立たせる。

 簡単なものばかり、でしょう?ですが「日の出」でも、 わが国で一番早く「初日の出」をながめるには、硫黄島は無理だから小笠原・母島になるか。 アジの開きは背開きそれとも腹開き?など、興味はつきないのです。自分でやるのですよ。

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