このレポートは、かたつむりNo.354[2011(平成23)04.17(Sun.)]に掲載されました

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巨大エネルギーの前で
運営委員 道 上   定
 
 この一ヶ月の間にひんぱんに流れた用語たち。
 マグニチュード 震度 ガル パスカル ヘクト シーベルト レム ベクレル キューリー グレイ ラド マイクロ ミリ テラ ギガ メガ 兆京
 災害対策基本法 廃棄物処理法 墓地埋葬法 住民基本台帳法 エコノミー症候群 肺塞栓症 誤嚥性肺炎 ベータ線熱症 低体温症。

 3月11日東北地方太平洋沖で巨大地震が起き、大津波が襲いました。ふくしま第一原子力発電所の制御系統と冷却システムが機能不全に陥りました。 地震で配管や配線がはずれたか亀裂が走り、そこへ津波がきて傷口を深くしました。さらに放射能もれが最大の解決課題となったのです。

 放射能被曝は甘くみてはいけません。5ミリまでは…などと、数値化されるとそんな気になってしまいます。 自然界ではもっと大きな数値で降り注いでいます、などと言われると納得しそうになります。基本的には放射能を受けないに越したことはないのです。
 被曝には外部被曝と内部被曝とがあって福島原発から20キロ、30キロ緊急時避難、50キロ計画的避難と言っているのが、おそらく外部被曝。 放射性セシウムが土壌からイネに吸い込まれ、収穫時にコメに移る度合いを示す「移行係数」を0.1と設定した汚染地域のコメ作付け禁止基準や、 しいたけの原木での露地栽培ものは出荷停止。口から放射性物質が入るので内部被曝と区別されます。 外部被曝のひどい症例は短時間に目立ちますが、内部被曝は長い期間で徐々に出てくるようですからゆだんできません、

 放射能の検出された水道水が心配ならミネラル水を、と言いますがペットボトルのミネラル水は原則硬水ですから新生児・乳児の内蔵にはかなりの負担です. ミルク溶きには不向きです。念のため。

 『計画停電」が有無を言わせず実施されました。案の定、評判がすこぶる悪く3月下旬には止めてしまいました。 「国民の協力が得られたので」実施しないで済みそうだ、とのこと。もっとも夏場には場合によっては停電をお願いすることになるかも、と言っております。
 この夏の東電のピーク需要は5500万Kワット、供給力は目標として5000万Kワットを見込んでいます。500万のギャップ。 これを節電その他で乗り切ろうといいます。
 電気事業法では産業大臣名で企業に対し『電力」の使用制限をかけることができます。 電圧と周波数でバランスをとっているのですが、くずれると送電網全体を守るように働き、大停電を招くのです。

「労働力」と「電力」は貯えておくことができません。供給が即需要となります。 電力のべースの部分を原発にまかせ、微妙な増減は揚水発電や、火力発電を利用してたのです。 外国でも大同小異ですが、地震と津波で電力が持っていかれたらライフライン全滅と言うことです。残されたのは放射能だけ、とはむごいことです。
 もう一度生身のからだで「等身大の科学」を考えませんか。

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