このレポートは、かたつむりNo.374[2012(平成24)09.02(Sun.)]に掲載されました

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病気道楽@
運営委員 道 上   定
 
 日刊・全国紙の「月曜俳壇」兜太選10句のなかに、

  冷や奴パーキンソンの口に入る   (八幡市)小笠原信

と言うのがありました。
 節電の暑いさなか、せめて食べるときくらいは涼しく心まろく過ごしてもらおうと、角の際だつ「とうふ」を口元へとどけるのですが、 あいにくパーキンソンのくちもと。おちょぼ口でかまえる。四角いとうふのカドがとれて、それでも口中にやさしい冷たさが伝わります。
 製鉄・造船の街・八幡市在住の方が詠むこの句は、哀しくも温かい体温を感じる17文字となっています。 行政区で今も「八幡市」はあったか知らん?灼熱の製鉄と冷たい水に揺らぐとうふの取り合わせ、 カドの立ったとうふと丸くすぼまった口との対比がなんともおもしろいのです。

 パーンソン病はやっかいな、気分が晴れない病気です。原因がはっきりしない、そのため治療方法が確立していないのです。 たくさんある難病の中のひとつです。患者もたくさんいるはずですが、個別にみると、 その絶対数が少なくて「市場経済」的には採算が合わないのでしょう。 研究者も製薬会社も解明・開発に熱心ではないようです。 もっともパーキンソン病では50歳以上の人々の100人に1人がかかると言いますから、あんがいとありふれた病気だと思います。

 そのようなわけで、実は私もありふれたパーキンソン病にかかってしまったようです。 だとしたら、この病気は生涯にわたって治療を必要となります。ゆううつこの上ないことですが、続きは次の機会にします。

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