このレポートは、かたつむりNo.375[2012(平成24)10.28(Sun.)]に掲載されました

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制御できる技術 こころ
運営委員 道 上   定
 
 なんとも心さわぐ報道がつぎ次ぎと出回って落ち着いておれません。
 火星探査機が生命の痕跡探しに走り回っています。 カメラで捉えられた情報や触診された情報が逐一発信されて4億キロ離れた地球で受信・分析されています。 探査機の名前がキュリオシテイだけあって、その情報と種類は膨大な量のようです。 公開された火星表面の写真の鮮明さにはおどろかされます。 火星のあばたもえくぼも、たるんだ皮膚も容赦なく写し出しています。
 皮膚といえば皮膚細胞から幹細胞を増やし、人工多能性幹細胞を作りだし、再生医療の基盤を確立した、 とのことで京大の山中伸弥先生がノーベル賞を受賞しました。iPS細胞の今後には大きな期待がかかります。
 ところが、ノーベル賞発表を追うようにM氏なる研究補助員が「わたくしは医療にiPS細胞を利用。手術に成功!」と、吹聴。 これにのっかるマスコミも出て、それはそれはにぎやかなこと。 けっきょくこれはうそだったのですが、「画期的なできごと」だけに関係者にウラをとればすむことを、やらなかった。
 似て非なるもの。とんだ輩です。

 話しかわって、みさごと言うタカの仲間が日本にも各地に棲んでいます。主食は主に大きなさかな。 で、海中の水面近くを泳いでいるさかなを空中から見つけて、ワシ掴みにしてとらえます。 捉え損なうことも多く、タイミングを合わせホバリングしながら次の瞬間を待つこともあります。
 巣は崖地、高圧送電鉄塔など。同じ巣を何回か利用しているようです。 昔から日本各地でふつうに見られる鳥らしく、「万葉集」では5首詠まれているとのこと。
 英語名はOsprey=オスプレイ。
 大きい鳥でトビの大きさ。ホバリングが目立つので野鳥観察なかまではファンが多いとか。
 米海軍のみさご=オスプレイが巣立ちで失敗をなんども繰り返し、 その原因がいずれも操縦ミスと言う「人的なミス」でコケルという言い訳をしながら普天間にたどり着きました。 「本体の作りには問題ない」、との説明で、飛び立ちかたや、飛び方の練習をしています。 生身のみさごが言うでしょう、「ジャイロはあるのか?肝心のベクトル転換点が一番あぶない。 操縦ミスというそこのところが、ハード本体が備えておかなければならないシステムの大事なところだ」。 「おれをまねたのか?とっさのベクトル変更はホバリングの前提条件なんだよ」と。
 コンピュータの超小型化、プログラムの大量処理・システム化で可能になった垂直離着陸機です。 それだけに基準となる姿勢が即座に判別できないと姿勢制御ができない、あぶないのです。 ましてオスプレイは重心の移動が激しいと思われます。ローターが止まったらどうするのかしら?
山川先生も、鳥のみさごも「まねてもらうのは名誉だけど、肝心なところがぬけています」と、ていねいにお話しするでしょう。


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