このレポートは、かたつむりNo.376[2012(平成24)11.18(Sun.)]に掲載されました

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食べたつもりが食べられた
運営委員 道 上   定
 
  科学少年団「かたつむり」No.375(10・28)に投稿のK君、すごいな! 輪ゴムの切れ端、紐の汚れた切れ端ぐらいに思わなかった? 最初は干からびたヒジキに見えたけど、よく見るとあきらかに「作りがちがう」と、気づいた。 なるほど横にはカマキリが手を合わせて拝んでいます。
 ハリガネムシと思います。
 類線形動物門・線形虫綱・ハリガネムシ。体は左右対称のつくり。体長は数センチから90センチくらいまで。 直径1から3ミリくらい。ミミズとちがって伸び縮みしない。動きは方向性がないようにみえます。
 ハリガネムシ類は世界中に棲息しており、2000種をこえる、といいます。 寄生虫ですから宿主の種類分はいるのでしょう。宿主にはカマキリ、バッタ、カマドウマ、ゴキブリなど。 水生生物に分類してますが、水中に産み落とされた卵が孵化し、幼虫はカゲロウやトビケラなどの水生昆虫に寄生します。 その昆虫が羽化し陸上に移動したところをカマキリ、カマドウマなどの陸生昆虫にまるごとがぶり!と飲み込まれます。 こんどは陸生の宿主の体内で成長するのです。
 生活史は複雑でほとんど解明されていないのですが、「ハリガネムシ類は水域で産卵するため、 宿主の脳神経系を改変するタンパク質を出して行動を操作し、水にとびこませる」と言うのです。 その結果として「渓流魚に大きな餌資源をもたらしている」のではないか、 と仮説を立て大規模な野外操作実験を行った結果を報告しています。 (「自然保護」2012・11・12・Na530日本自然保護協会発行)
 K君、ぜひ目を通してください。カマキリについてもリポートが出ています。
 カマドウマは5、6年前夏季宿泊活動で群馬・栃木方面へ出かけたときに、地滑り地帯の防災対策事務所の、 水抜き水平坑道の天井・壁に数十ひき集団でいたのを見ましたね。
カマドウマは、かまど・うま=竈・馬。ハリガネムシは英語名をホースヘアー・ワームス。 なんとなく繋がっているような、いないような…。

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