地獄の釜のふた | |
運営委員 道 上 定 | |
薮医者も、坊さん・閻魔さんも、皆すべての業務を休みました。閻魔祭日といいます。「地獄の釜のふたが開く」ともいいます。 沖縄・奄美・八重山地方では新正月も祝いますが、旧正月と合わせ、16日に先祖のお墓の前で「あの世のお正月」を大切にして祝うと言います。 年に2回、釜の蓋が休むのです。 ところで、シソ科植物のキランソウ。またの名を「ジゴクノカマノフタ」。 春は早くからお日様の光を求めて芽を出し、葉は放射状に、しかも地面にへばり着くように育ちます。 葉の根元から花がつき、葉と葉のあいだから唇状の花がのぞかせます。 シソ科の茎はその断面が角張ったのが多いのにこのキランソウの茎は丸いようです。 新年度最初の活動「雑草を食べる会」を控えて、その前日に念を入れて観察会と材料となる雑草の収穫をします。 数年前のその日、用田にお住まいのTu先生の畑を使わせてもらいました。 耕作放棄地となった広い現場では何でも育っており、モウソウチクもその子も、芥川竜之介の「蜘蛛の糸」も、 そしてキランソウ=ジゴクノカマノフタもあちこちにみることができました。 モウソウチクの子はTu先生の奥様がたけのこご飯のおむすびと、煮付けにしてお昼の膳に出してくださいました。 「おいしい!」を連発した私は、タケノコのおみやげを忘れませんでした。 キランソウは漢方・生薬ではありませんが、中国では慢性気管支炎の薬です。民間薬で金蒼小草といい、「医者知らず」で知られています。 きりきず、やけど。おなかの薬、気分安定に、といわば万能薬。「医者倒し」そして「医者ごろし」ともいわれました。 ヒメキランソウ(Pygmaea)は九州から沖縄の海岸の岩場に生えるといいます。 全体の印象は似ており、葉は厚く光沢があるとのこと。私はまだ見ていません。 |