ろうそくの科学 |
運営委員 道 上 定 |
私たちは台風シーズン・二百十日・お彼岸などの、夜の停電に備えて懐中電灯を用意します。場合によってはろうそくかもしれません。
そして誕生日やクリスマス・年末年始にはろうそくを準備するでしょう。懐中電灯それともろうそく?同じ「灯り」を求めるにしても目的が違うからです。 ファラデー(1791〜1867)はろうそくを用意しました。180余年前のクリスマス講演の時でした。 実験台には日本の「和ろうそく」もおかれています。懐中電灯はなかったの?(はたしてあったかどうか?) 少年少女を目の前にしての『ろうそくの科学』は、当時もっともありふれたろうそくをおもな材料として、 原料・製造・歴史・燃焼・燃焼による生成物・炭素の性質・ヒトの呼吸と燃焼は似てないか、などなどやってみせるのです。 目の前で繰り広げられる実験。子どもたちには緊張の連続だったとおもいます。 このときの講義録が『ろうそくの科学』と題されて岩波文庫に収まったのが1933年3月。 ファラデーが英国王立研究所に入ったのが1813年3月ですから、ちょうど120年経ってからの日本での出版と言うことになります。 さて、その文庫本の中に木片と小枝を示し、これはよく燃えるのでとくに名高いものとして「ロウソクの木」が出てきます。 アイルランドの湿地に産出する珍しい木で、堅くてじょうぶで、優秀な用材。またよく燃えるものですから、つけぎやたいまつにします、とあります。 脚注を見ると「これはククイノキ(帰化植物)、学名をAleurites trilobaという。」となっています。 ククイノキなるククイとは?鵠々の木ではないのか?現在のところ分からず。気になっています。だれか知りませんか? ところで私たち科学少年団運営委員会の先生方はファラデーをつとめて30年になります。 化学や電気や生物、天体や地質、いっけん関係のない実験や工作がつながって行われますが、あなた方でひらめいて、そしてつなげてください。 そうすると楽しいクリスマスは閉じられ、やがて一条の光りの新年を迎えることになると思います。
事務局注
「ろうそくの科学」は現在、角川文庫(2012 540円)と岩波文庫(2010 735円)から出版されています。 クリスマスにご家族で読まれたらいかがですか。感想文をお待ちしています。 |