ビャクダンはセンダン | |
運営委員 道 上 定 | |
センダンといえば香木ですよね。でも、あまり聞きませんね。輪郭もはっきりしないし、困った。
そこで基本を固めようと思って、辞典にあたってみました。 まず、平凡社の『小百科事典』(1965/4発行)には 「せんだん楝せんだん科・暖地に自生する落葉喬木。古名;おうち。人家にも栽植。…以下略…」とあります。 香りについての記載はありません。 〔栴檀=センダンは二葉より芳し〕センダンは発芽の二葉の頃から芳香を放つ。 英雄・俊才など大成する人は、幼時から人並みはずれて優れたところがあることのたとえ。 (『故事ことわざの辞典』尚学図書編集・小学館発行・1986/4) たしかにいるんですよ、ジャズピアノの上原ひろみさんのような。ヴァイオリンの五嶋みどりさんのようなおそろしい人が! 〔センダン〕@ビャクダンの異称。Aセンダン科の落葉高木。我が国を始めアジア各地の暖地海辺に自生、高さ約8メートル。 葉は大形の羽状複葉。…以下略…(『広辞苑』第四版・1991/11発行)とあり、行を改めて〔―は双葉より芳し〕 「センダン@は発芽の頃から早くも香気があるように、大成する人は子供の時から並はずれてすぐれている」と説明しています。 広辞苑第二版では@としてセンダンを説明し、そのあとAビャクダンの異称と、順序がちがっています。 おそらく検索回数 引用回数はビャクダンの方が圧倒的に多く、そのため第四版では順番を逆にしたと思います。 つまりセンダンと呼ばれる香りの木は、ビャクダンという別の木なんです、と。
わが国で「棟=おうち」と呼び慣わしていた木について、インド・中国では「栴檀=センダン」の名前で呼んでいる。 おそらく「白檀=ビャクダン」はその後仏教と共に仏具として渡来、仏像・祭壇・数珠など幅広く利用されるようになった。 あきらかにこの2種類の区別はつくはずなのに、どうして「ビャクダンは双葉より芳し」とならなかったのか、老木の私は戸惑うばかりです。 |