このレポートは、かたつむりNo.404[2014(平成26)10.26(Sun.)]に掲載されました

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冷夏が猛暑、でも予備率10%
運営委員 道 上   定
 
 大型中央演算処理装置に、気圧や気温、太平洋の海水温など多くのデータを投入し、偏西風をくねらせ、 エルニーニョを振りかけ、出した長期予報では「今年は冷夏」。
 長期予報が出てまもな<、猛暑の連続。小さな声で言い訳していたら、 「今まで経験したことのない[猛烈な大雨]警報」があちらこちらで。 小さな区域にスケールの大きな気象変化の連続には多くのヒトは戸惑うばかりでした。
 毎日の予報も「晴れ、所によっては曇り。一部大雨に注意が必要です」という分かったような分からないような言い回しで、 まあ気温も高いし、濡れてもいいやと、あまり気を使わなくなりました。
 とにかくこの夏は暑かった。熱中症で救急車出動も藤沢では79件(5月末〜9/26までの、119日間・藤沢市消防局)。 気候変動のおだやかな藤沢ですが、全国的には厳しい[酷暑]でした。
 にもかかわらず、「この夏の電力は10%も余裕がありました」と、電気事業連合会が(9/19)公表しました。
 東日本大震災前の最大電力は1億7775万キロワット。そして震災後は1億5000万キロワット台。今年もそう。 その差おおよそ2000万キロワットは原子力発電20基分に当たるのですが、この夏も原発は動いていません。
 最大需要電力に対して供給電力は10%も上回る量が確保されていました。予備率10%はもったいない。 ふつうは余裕をみても7%でじゅうぶんです。夏前には「電力会社によっては予備率3%確保がやっと」だ、 などといっておりました。なにか事故があったら電力不足になり、停電の事態に対応できない。 だから原発の安全基準の承認と再稼働を早く、と強く印象づけていました。
 需要電力が伸びないのは震災後の国民一人ひとりの節電効果でしょう。エアコンの電力使用量は大きいので、 その点滅もまた大切です。(今年もエアコンは使わず暑い夜3、4日を扇風機で代用した私です。私は年金生活者)
 そんな酷暑のなかで、ゆとり10%の電力を余らせ、ベースロード電源には原発を、 と放射能汚染問題を解かないで国民に解答を迫る巨大な竜巻は誰がコントロールするのでしょうか。
 原発を基盤電源に据えるというのは、聞こえは良いのですが、「位置づけ」はそれしかないのです。 原発は融通が利かないのです。なにしろ定常運転にもってゆくまでに3〜4日かかるのです。 原発には[揚水発電]というぜいたくな発電所を併設します。下の池から水を汲み上げて上の池に貯めて落として発電する。 水車がポンプの羽根になり、発電時のタービンの羽根となる。もちろん仕事量は汲み上げのほうがはるかに大きい。 だから深夜の汲み上げ、昼間の発電となります。つまり運転するほどコスト高になるわけ、です。 (水量・発電量の管理は原発側でコントロールします)。
 原発は需要の変化に即応できません。だから水力発電とともにベースロードに位置づけます。 需要電力量の変化にはガス、石炭火力発電で対応します。
 核燃料使用後の放射能廃棄物は「捨て場所」も「保管場所」もないのです。
 冷夏の予報は修正されましたが、現実はもっと大きく振れて、猛暑の連続。関係者はここまで予想したでしょうか。 高齢者の熱中症、土砂災害、人の宿題はやり終えていません。問題山積です。





【写真説明】 散歩道の脇の〔武装した電柱〕
 怒髪天を衝く・・・カラスが集まり、近くの生ゴミを食い散らす。 最近では空き缶を傾けて中のジュースをこぼすことを覚えた個体がいた。 「天を衝く」尖ったモールでカラスの群れが集まらなくなった。


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