このレポートは、かたつむりNo.408[2015(平成27)02.22(Sun.)]に掲載されました

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ジャンク・フードでまにあわせる
運営委員 道 上   定
 
 カップめんと言って軽食感を強調したり、ヌードルと上品に言い換えてみたり…。 ようするに熱湯を注いで3分待つと出来上がる即席カップめん。たしかに便利ではあります。 深夜の受験勉強には重宝したものです。
 サンドイッチは左手でつまみ、右手にシャーペンか蛍光ペンを持って、カニみたいに目をくりくりさせれば、 勉強もはかどろうと言うもの。ハンバーガー.鮫子までたどればもう本格的食事ではありますが…。


 カップめんの容器には〔原材料名〕が江戸時代の高札(場)よろしく掲示してあり、なにか文句あるか、 との雰囲気。量の多い順にならべています。
 【表1】は「即席カップめん」の原材料名で、油揚げめん以下はその一例ですが、 食べ物にしては台所で見かけない名前のものが数多く書き出されています。
 たん白加水分解物、炭酸Ca、着色料、酸化防止剤、焼成Ca、乳化剤、増粘剤…。お見込みのとおり「食品添加物」と呼ばれる材料です。 熱湯3分であたかも、いま調理して出来上がったばかり.の雰囲気を漂わせるための黒子役です。添加物は体にとっては「異物」です。 できるだけ体内に取り込まない方がいいのです。だからといって使用しなければ「即席・なか食」にならないのです。 本来のたべものは時間をかけて調理し、時間をかけないですぐたべる、のが望ましいのです。
 【表2】はその「栄養表示」です。インスタント食品の栄養表示にはとくに気がかりなものが食塩と油の含有量です。
 日本では1日の塩分摂取量成人男性10ゲラム、女性8ゲラム以下を目標にしています。
 油についても1日あたり全熱量の20パーセントに。2500キロカロリー必要な人は油は55グラムとなります。
 このカップめんは内容量が71グラムと小ぶりですが、3分でめんがほぐれるよう、植物油脂を使って低い温度で揚げていますから、 どうしても油脂成分がたくさん残るのです。
 塩分も少な目のつもりが味の習慣に負けて多くなります。
 糖分も同様に冷たくても甘く感じるように工夫しています。
 【表3】は「タマゴ・ハムサンドイッチ」の「原材料名表示」の一例です。 マスタードマヨネーズ風ソースとは「マヨネーズ」では植物油・食酢または柑橘類の果汁・卵黄または全卵の、 3つのものはかならず使わなくてはいけません。はずれていれば「風」です。
 添加物がやはり多いです。コチニールはカイガラムシのなかま。乾燥し粉末にして使います。クチナシ、β一カロチンとともに天然着色料です。 亜硝酸Naはハムの黒ずみを防ぎ新鮮に見せる添加物。
 調理してすぐに食べれば、ほとんどの添加物は必要ありません。
 ファーストフードは「うまい・速い・安い」を追求している間は結果的にいつまでもジャンク・フードであります。
 最近は「これではいかん」と業界でも消費者側でも動きが出てきました。〔お手軽食事〕の危うさにやっと総合的な方向性が見えてきた、 そんな気がします。ビニールの切れ端や掃除道具のカケラがバーガーやドレッシングの中から出てくる、などというのは添加物、 異物どころか論外です。困ったものです。


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