免震ゴム「騒動」 |
運営委員 道 上 定 |
「免震ゴム装置」製造・設置の会社がいま、揺れにゆれています。データを改ざん偽装し、それが建築物に使われているからです。
その数300棟以上とのことですから安全・安心はすでに崩壊しています。 以前にも鉄骨の規格数量を改ざん偽装して、少なく見積もった「あねは建築設計事件」があって、 建築構造物の安全基準には目を注がれていたはずです。今度は腰骨に相当する免震装置。 鉄であれゴムであれ材料自身が悪いわけではなく、すべて「利用する側の悪意の上」で、だ。 今回の事件でも唇を噛む人、ホゾをかむ経営者らが目に浮かぶわけですが、「ゴムだから…」と自由自在になりません。 ゴムは天然ゴムの利用から始まりました。「力を加えると縮み、抜くと即もとに戻る」のはゴムだけの特徴です。 イギリス、フランスなどはプラントハンターを使ってゴムの木を世界から手に入れ、植民地で大規模な栽培をしていました。 それでも天然ゴムでは過酷な環境での利用は限界があります。 耐久性を持った合成ゴムが特許取得したのは1845年のことですからちょうど170年前にゴム利用の世界が開けたことになります。 この区切りのよい今年、ゴムにまつわる「免震ゴム」事件を地震国・日本から発信するとはなさけないことです。 良いものをていねいに作り.安全・安心でくるみ輸出する、これはどうかした外交以上の平和外交です。 地震対策として〔耐震〕、〔免震〕、〔制震〕等の言葉が使われますが、微妙な違いです。 受けて立つ=壊れない=耐震、やり過ごす=首をすくめ、足を抱え込む=免震、 大事なところだけ地震からカバーする=制震、と言う程度の違いでしょうか。 写真はお寺の本堂のご本尊ではありません。毘沙門天の立像ですが、一般には見上げる位置にあり、さらに頭部が大きく、 仏様によっては光背をつけています。こうなると重心は高くなり、すぐに倒れます。地震対策はむつかしくなります。 上野の国立西洋美術館では15年ほど前に建物全体を持ち上げ免震構造に改修しました。 また、前庭のロダンの「地獄の門」の彫刻も免震台の上におかれています。 今回の事件では公共施設や大がかりな建築物ばかりですが、小住宅は耐震や免震の領域で検討されているようです。 うすうすお気づきのように新築段階からの地震対策であれば期間も経費も妥当な数字となるのですが、 建設後の改修工事となれば大きな決断を迫られます。なにしろ多くの地震の波は地べた・土台から伝わりますから。 縄跳びのように地震波がきたら「飛び上がって滞空し、やり過ごし・着地」。 その時、水道管・下水管、ガス管などの立ち上がり部分の構造を解決しておかなくてはなりません。 そして耐久性は60年と言われたら…。 ゴムと言えばタイヤ。航空機用のそれは5〜6本。ボーイング747では全部で18本。300トンの重量をささえています。 瞬時に離陸。条件が過酷なので使用限界は200回! しかも天然ゴムです。 |