このレポートは、かたつむりNo.412[2015(平成27)04.19(Sun.)]に掲載されました

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御御御付。御馳走様
運営委員 道 上   定
 
 「いただきまぁーす」と合唱して箸をとり、ドクダミの天ぷらには目だけ滑らせておいしいタンポポの黄色い花をつかみます。 「おいしい!」の声。(ほんとうかいな?)。「えり好みなしだよ」と班長のきつい声。はあーい、と新入団員。 「うまい」と先輩となった新5年の団員。口に入れて「ほんとだ。うまい」と新団員。ドクダミも先輩の雰囲気にのまれて、おいしくなるらしい。
 食事は家族全員で準備し、全員でいっしょに食べるといっそうおいしくなります。 科学少年団ではグループ編成を家族の姿に倣い、年齢の異なる組み合わせで活動しています。 年長は年少にも気を配り、イソギンチャクは団員と先生の間に位置してギャップを埋めてくれます。知の育成と文化の醸造は大切なことです。
 タンポポ、ドクダミ、カンゾウなど牛のようにたくさん食べなければ、おなかをこわすことはまずありません。 セイヨウタンポポはサラダの野菜として入ってきたのですから。
 アクのつよいもの、ツクシやイタドリなどは湯がいて水にさらせば独特の風味がたのしめます。 大きい素材は解体して細切れにしてパック。陳列・販売の店頭では生きていたときの姿が描けない。
食べることが「命をいただいて繋ぐこと」を実感できなくなっています。

 ところでそのイタドリですが、海の向こうの英国では煮ても焼いても喰えない代物、と嫌がられています。
 不動産の価値大暴落、資産価値ゼロ。その額850億円とか。イタドリに起因する道路の補修費は駆除を含め年間200億円といいます。
「庭園」を「おもてなし」の重要なところと自慢している英国で、イタドリがあちこちに顔を出すのです。 コンクリートの割れ目からも、あげく、住宅の板の間、土間からも一気に出てくるとのこと。
 英国のイタドリは19 世紀に我が国、肥前の国(長崎県)から輸出されたもの。英名;日本のふしくれ雑草。 学名;フロピア・ジャポニカ。現在、アメリカでのクズ同様[世界の侵略的外来ワースト100選定種]となっています。 5年前、天敵の[イタドリマダラキジラミ]の天然除草剤として安定した生産にめどがつき、駆除することになったようです。 ちなみにこのマダラキジラミは肥後の国(熊本県)で採取したもの。大きさは体長2ミリ。 条件がいいと2メートルにもなるイタドリに2ミリのカメムシ目が挑む、のです。

 「食う・食われる」はそれこそいのちがけ、です。
「いただきます」、「おみおつけ」、「ごちそうさま」はたんなる丁寧語でありません。命がけの言葉と言えましょう。





 【写真説明】イタドリ;タデ科。学名=ファロピア・ジャポニカ。英名=日本の節くれ雑草。風媒草。谷間の崖崩れ後など攪乱場所での先駆植物。蓚酸を多く含み、かじるとすっぱい。

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