このレポートは、かたつむりNo.420[2015(平成27)12.06(Sun.)]に掲載されました

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鏡 像 反 転
運営委員 道 上   定
 
 ―人っ子政策の中止を発表しました。
 国の広さ、人口ともに大国での話し。長年続いた「夫婦間の子供はひとり」に限る。違反すると刑罰が。 家庭生活の基本に関わるところを国の政策で規制していました。
 世代の交代が歪むと、果てしなく人手を要します。生産・消費、労働、経済活動、医療、介護などあらゆる方面に大きな影響を与えます。

 2015年現在の世界の人口は、推計73億50万人。私たちの国では新内閣の手で「一億総活躍国民会議」が発足。 その資料に「50年後も人ロー億人を維持」、子育て支援に[希望出生率1・8]がかなう社会の実現、が提案されています。
 一億相剋民(じゃなくて)総国民がよってたかって活躍。で、なにやるの? 目的は?

 私たち高齢者は戦前・戦中、そして戦争直後に生まれました。「産めよふやせよ」の国策にのっとり生まれてきました。 必死に生きて、さてこれからは「おれの自由だ」と鏡をのぞくと、そこには高齢者。
 「お年寄りが多くて、年金財政が追いつかないのです。若いものに負担させるのですか?」 (人口動態調査で早くから分かってたこと。なにもしないで、制度設計も…)。

 年金財政?。制度設計?
 大丈夫ですよ。あなたが思った以上に[コト]は進んでいますから。老老介で…。数ヶ月気づかれずに…。 財布には10円玉がすうまい…。まだある。災害時には高齢者が真っ先に被害の土嚢となりますから…。
 「一億総活躍」は戦前・戦中の「勤労動員」、「勤労奉仕」にもつながり、右も左も一緒くたとなって、 理屈抜きの行動を要求するような語感を与えます。

 メビウスの環の上を歩いているような、右方向に歩いたら左のハジに行き着き、昇っているつもりが下っていたり…。 鏡でもふしぎです。「鏡像反転」という現象。
 コーヒーショップでのこと。なにげなく向こうの天井を見ていると、トイレの案内標識が下がっています。 撮ったのがこの写真。写真の加工・修正はしていません。なにか、どこかおかしくありませんか?
 撮影して2週間ばかりして朝日新聞に偶然にも、「今さら聞けない鏡映反転」のタイトルで鏡の世界を解説する記事が出ておりました。 東京大学認知心理学の高野陽太郎教授の説が大きく載っておりました。

 としても、私の撮った写真の意味とはまた違っています。さてなにが?


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