このレポートは、かたつむりNo.268[2005(平成17)3.20(Sun.)]に掲載されました

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最近の地震のニュースから
運営委員 荒 牧   寛
 
 地球の表面は、常にミクロン単位で、2〜10秒周期で振動しています。脈動といい、 東京では5秒前後、これは海洋の湖面振動(表面波)による波の衝撃が主因であろうと考えられています。
 地震は地球内部のある部分に急激な変動がおこり、その為に生じた振動が四方に伝わる現象です。 人体に感じないような小さな地震も数えると、世界中で一日に何百回も地震が発生しています。 ゆれの大きさは震度で示します。ゆれの加速度の大きさにより、 人体に感じないゆれ(0.8ガル以下)を震度0、震度1はその約4倍の加速度(0.8〜2.5ガル)です。 昨年、中越地方でおきた地震は、M6.8と全体のエネルギー規模は(マグニチュード)小さかったのですが、 震源が浅く、その真上にあった山古志村は震度7(400ガル以上)でほとんどの家がこわれ、 山崩れや地割れも生じました。 さて、地震全体のエネルギー規模を示すマグニチュード(M)は数値が1上がると、 エネルギーは約30倍になります。M7.0は2×1023エルグ、 広島型原爆約20発分のエネルギー、M8.0は7×1023エルグ、 広島型原爆約700発分のエネルギーです。震央から100kmの地点で、 S波(主要動)の最大振幅1cmの地震のマグニチュードはM6.6、 最大振幅10cmではM7.6位となります。昭和8年3月、 三陸海岸から240km沖の海底が大きな正断層による陥没を生じ、 地震(M8.5)とともに津波を発生しました。この時の差大波高287m、津波による死者3060名でした。 江戸時代、宝永4年(1707年)の大地震はM8.4とされ、地震から1〜数時間後、 津波は日本列島太平洋側全域を襲いました。特に第3波が大きく、土佐、 種崎では波高80尺との記述が残っています。その後の研究で、 この地震は遠州灘沖と紀伊半島沖の二つの巨大地震がほぼ同時に発生したと考えられています。 これと同じようなパターンの地震が発生したら大変ですが、 この地域は現在地震のエネルギーが放出されていない地域でもあるのです。
 ジャワ島で発生した地震はM9.0という超巨大地震でした。大きな津波も発生しました。 津波は20〜40mの長い周期の波で、深い海底ほど波長は長く、伝わる速さも大きくなります。
 
スリランカKalutara  cDigitalGlobe/日立ソフト
波高30mの波も波長が1000mでは、なだらかな曲面にしかなりません。 津波の進行する速さは√ghです(gは重力加速度、hは水深)。 深さ8000mの海では280m/秒(音速に近い速さ)、5mの深さでは7m/秒(人の走る速さ)。 津波の時じは諦めずに走って逃げ続けるか安全な高い場所に登りましょう。 さて、M7.0、M8.0といった大きな地震(本震)の直後は1時間に数十回、 1ヵ月に千余回と余震が発生し、発生回数は減少しながら2〜4年は余震がおきます。 地震規模と発生回数との間には一定の法則が知られています(グーテンベルグ−リヒターの関係)。 ジャワ島沖地震は今も救援活動が続いています。しかし、M9.0の本震に対し、 M8.0前後の大きな余震が1,2回おきる確率は高いのですが、その対応はどうなっているのか心配です。


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