このレポートは、かたつむりNo.527[2023(令和5)09.17(Sun.)]に掲載されました

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気圧のチカラ
3班 K.K.父 K.K.様
 
5/21の科学少年団の活動で「気圧」について学びましたね。
そんな「気圧」に魅了されてしまったある大人がここにます。そう小生です。
そんな大人からいくつか気圧にまつわる情報/データを共有したいと思います。

いきなりですが、「天気痛」って聞いたことがありますか?
低気圧や台風のときに、頭痛やめまい、関節痛、気持ちの落ち込みなど身体に不調があらわれる人いませんか? その症状、「気象痛や天気痛」かもしれません。
小生はそんな不調を感じています。
ある調査によると、約1000万人が何かしらの「気象病、天気痛」を感じているそうです。
原因は、気圧の変動にあると言われています。 気圧は天気の移り変わりとともに変動していますが、その変化を感じるセンサが、耳の奥にある内耳にあるそうです。
この内耳が急激な気圧の低下または上昇を感じると、交感神経と副交感神経からなる自律神経のバランスが乱れ身体の不調が起きます。 そんな時は、耳をマッサージするといいようです。

さて、先日の台風2号通過時の気圧変化例を図1に示します。我が家にある気圧計でモニタしました。 通常、天気のいい日は2-3[hPa]しか気圧の変化はしません。
覚えていますか?台風は藤沢付近を6/2から3にかけて通過しましたね。 2日ぐらいかけてゆっくり通過し、気圧の変化が20[hPa](=1017-997) 程度あったことがグラフから分かります。


図1 台風2号通過時の藤沢の気圧変化

図2 Δ5[hPa]のイメージ

気圧の大きさを表す単位、そう、hPa:ヘクトパスカルで表すことを学んだと思いますが、 5[hPa]の気圧変化があると天気痛を発症するという統計データがあります。
では、その5[hPa]の変化とはどのようなものなのでしょうか?イメージ付きにくいですよね。
1[hPa]の気圧が増加すると、ヒトは10[kg]の空気を背負うことと同じなので、 およそ50[kg]の空気を背負うことになります。
また、同じように1[hPa]の気圧を増加させることは10[m]の高度を下げることと同じなので、 およそ50[m]高さ方向に下がることになります。 これはビルの16階から降りるのと同じです。
16階以上の高層ビルに住んでいる人は、外出するたびにこのくらいの気圧変化を知らず知らず感じているのです。 都会に住む現代人にとっては、色々な場所に出かけることを考えると、至る所で5[hPa]ぐらいの気圧変化を感じていそうです。
ところで、富士山の頂上付近(3776m)はおよそ800[hPa]程度です。
1000[hPa]ぐらいのここ藤沢に住む人が富士山に登山すると、200[hPa]の気圧変化の影響を受けます。
200[hPa]×10[kg]=2000[kg]=2[t](トン)!もの空気の重さが取り除かれるのです。 もし、ポテトチップスを持って登山したらポテトチップスの袋がパンパンに破裂しそうになります!
登山をしてそんな経験したことがある人もいるでしょう。
もちろん、ヒトの体だって同じようにいろんなところが膨らんでいるはずです。でも気づかないですね。 そういう意味でも地球上に住む生物は破裂しないように体が出来ているんですね。スゴイ!



図3 自作の気圧センサ(2種類)
ところで、気圧変化にすっかり魅了された小生は、毎日このような気圧センサを持ち歩いて、 1秒ごとに私が感じている気圧変化をモニタしてロギングしています。
人は、天気の変化だけでなく、行動するとどのくらい気圧変化を感じているかを調べたかったからです。
ここで、東京から新潟方面に旅行しようと新幹線に乗ったことを想像してください。
何か特別な運動するわけでもなく、たまにトイレに行くぐらいでずっと座席に座って友人とおしゃべりしたり、 ご飯を食べたりして過ごしますよね。
ただ新幹線に乗っているだけなのに人によっては、なんか疲労感を感じたりすると思います。
これは実際に家族で長野新幹線「はくたか」の乗ったときに所持していた気圧センサでロギングしたデータになります。



図4 新幹線乗車時の気圧変化
縦軸は気圧[hPa]で、横軸は時刻になります。
この日の天気は良く、気圧変化はほとんどない一日でした。
新幹線に乗っている間に小生は、最大気圧1025[hPa](上野駅)と最小気圧910[hPa](軽井沢駅)から、 Δ115[hPa](=1025-910)の変化をたった2時間ぐらいの間に感じていたのです。
さっきの話を思い出してください。 Δ5[hPa]は、空気の重さ50[kg]相当の変化でした。
Δ115[hPa]っていうと、、、1.15[t]の変化!(115/5*50=1,150[kg])ですよ。
1トンの重さのイメージはおよそ普通自動車1台分の重さです。富士山登山で2トンの重さ変化でしたね。
それが、新幹線に乗って座っているだけなのに、目に見えないだけで自動車一台分の空気の重さを背負ったり、降ろしたり、、、 敏感な人は疲れてもおかしくないと思えます。

気圧変化を可視化してみると面白いと思いませんか?(小生だけですかね、、、)

日本語には
気圧(けお)される(=なんとなく精神的に圧倒されること)
という言葉があります。気圧とは昔から馴染みのある言葉だったのかもしれません。
最近、若い人たちの元気いっぱいな言動に毎日、気圧されている大人ですが、 「気圧される」のはあくまで自分次第であり、そこは自分の心をしっかりしなければいけませんね。。。

[参考文献]
「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本 1万人を治療した天気痛ドクターが教える /佐藤 純 (著)


K様、原稿ありがとうございました。とても読み応えがありますね。
気圧に限らず、データをただ数字だけで見ていても余り良く分かりません。 グラフにして可視化することで始めていろんなことが見えてきます。 グラフ化って言うのは科学の常套手段です。ぜひみんなもグラフと友達になろう!
人間の体はうまくできていて、日常の気圧の変化を感じることができません (もし感じられたら結構うっとおしいのではないでしょうか)。 ですので、気圧センサみたいな道具が大活躍します。 専門的に作るのは大変ですが、スマホの種類によっては気圧センサが内蔵されていますので簡単に知ることができます。 是非挑戦してみてください。 M.



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