このレポートは、かたつむりNo.554[2025(令和7)06.29(Sun.)]に掲載されました

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「江の島にいるリスは飼えるの?」
運営委員 吉 村 武 嗣
 

6月の江の島での活動中、大きさ30cmくらいで、黄土色の毛が混じったリスを見かけませんでしたか?
私はその日、3回も見かけました。 団員からは「かわいい!」「でかっ!」「あのリスは飼えますか?」といった声があちこちから聞こえてきました。

早速チェックしてみると、このリスはクリハラリス(別名タイワンリス)という種類で、もともとは台湾にすんでいたリスです。 昔、人間が日本に連れてきたものが逃げ出し、今では野生として増えてしまいました。

見た目はかわいくても…
クリハラリスは「特定外来生物」という法律で決められた動物です。 勝手に飼ったり、捕まえたり、放したりすることは禁止されていて、 もし違反すると罰金や懲役になることもあります。
(出典:環境省ホームページ)

農作物を食べたり、木の皮をはがして樹木を枯らしてしまったり、電話線をかじったり、 人の家に入ってダニやノミを持ち込んだりと、人にも自然にも悪い影響があると分かっているからです。
でも、見た目はふわふわで、目もまん丸。
「どうしてこれがダメなの?」と思ってしまうのも無理はありませんね。
だからこそ、「見かけても、エサをあげない」ことが私たちにできる一番の協力になります。



6/8(日) 江の島 約4cm 5齢
実は“逆のパターン”もある
〜日本から海外へ〜
今回はタイワンリスのように、外国から日本にやってきて問題になっている動物を見かけました。 でも実は、日本から外国に出ていって困られている生き物もいます。
江の島の観察中に見つけた「マイマイガの幼虫」という虫もそのひとつ。 日本では昔からいる虫ですが、海外に渡ってしまうと、森林を食べてしまい、とてもやっかいな存在になります。
なぜかというと、卵の状態で船や荷物にくっついて海外に運ばれることがあるからです。
海外でその卵が見つかると、大きなクルーズ船や貿易船が入港できず、 何日も海の上をただようことになり、旅先の変更や大切な荷物が届かなくなることもあります!

つながっているんだ、自然も人も
タイワンリス 外国⇒日本
マイマイガ 日本⇒外国  ※どちらも問題になる

見た目だけでは分からないけれど、人間の行動が生き物の暮らしや、世界中の環境に関係していることがあるのです。
自然の中で見かけた生き物について、「かわいい」と思ったり、「飼いたい」と思ったりするのは、とても自然なことです。
でも、その生き物がどこから来たのか、どんなふうに暮らしているのかを知ることで、私たちにできることも見えてきます。
観察すること、知ろうとすることは、小さなことのようでいて、とても意味があります。
これからもいろいろなことに「なんでだろう?」と思って、自然とのよい関わり方を一緒に考えていきましょう!


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