このレポートは、かたつむりNo.281[2006(平成18)2.12(Sun.)]に掲載されました

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この冬の梅
運営委員 鈴 木 照 治
 
 2月になると、テレビや新聞で、梅の花便りが出されます。 今年は開花が遅いので、この文を書いている今(2月上旬)は、まだ多くの梅は咲いていません。 それでも、「冬至梅」など早咲きのものは咲き始めています。 今年の梅の開花は、ここ数年を比べるともっとも遅れています。 例年1月下旬には見ごろになる熱海梅園でも、今年の見ごろは2月下旬と見られます。 藤沢では、通常は2月下旬から3月上旬が見ごろですが、今年は2〜3週間あとにずれると見てよいでしょう。 近頃は、梅園に行くと、梅よりひと足早く咲く「蝋梅(ロウバイ)」が、今満開で、 咲かない梅の代わりをつとめています。 ロウバイ(蝋梅)は旧暦の蝋月(12月)に咲くのでこの名がありますが、梅の仲間ではなく、 ロウバイ科(図鑑ではクスノキ科とモクレン科の間にある)に属し、梅と同じく中国原産です。 梅とは少し違ったよいにおいがします。 このロウバイも今年は開花が10日ほどおくれたとテレビでは紹介されました。 残念ながら、藤沢にはロウバイの観賞できるところはほとんどありません。 個人住宅の庭先か、片瀬常立寺の小さな木で花を見るしかありません。 ロウバイは梅と同じく観賞期間が長く、2月いっぱいは、花とともによい匂いを楽しむことができます。 町を歩いて庭先のロウバイを見つけるのも私にとっては楽しみの一つです。
 さて、1月31日のテレビで、東京、湯島天神の梅が写し出されました。 ほとんどの梅の木が、全然咲いていない中で、少しだけ花を咲かせているのは「冬至梅」という品種の梅で、 例年なら、12月の終わり頃から咲き始めるのが、この冬は今、ようやく咲き始めたので、 約1ヶ月遅い開花です……と説明されました。 そして、2月4日のテレビでは見事に咲いた湯島の「冬至梅」が紹介されました。 さらに、2月7日のテレビニュースでは、東京大手町のふつうの梅が開花したことを知らせていました。 2月8日朝のテレビで、東京の梅(普通種)が開花したこと、平年より10日遅く、 16年ぶりの遅さと報道されました。
 この数年続いた暖冬にからめて、地球温暖化現象と、よく言われるようになりましたが、 温暖化=(イコール)暖冬というような単純なものではないらしいということもわかってきました。 それは、温暖化が、寒波の流れ出しや、冬期の低気圧の通る道筋など、 大気の大循環にかかわるものでもあるということです。 年によって気候に変化があることは当然の自然現象ですが、それがそれぞれの年で、 どう変化しているのかについて、関心をもつのも科学の心だと思います。 今年は、桜をはじめいろいろな春の花の開花がどうなるのか、今から楽しみになります。

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