このレポートは、かたつむりNo.285[2006(平成18)5.14(Sun.)]に掲載されました

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今年の春を振り返る
運営委員 鈴 木 照 治
 
 4月9日に少年の森を歩きました。 早春の雑草が、みな一斉に花を咲かせる中で、ハルジオンだけは、 まだことごとく冬の姿のロゼット形のままでした。 ところが翌10日、湘南台を歩いて、コンクリートの隙間に出たハルジオンが、 うなだれた(幼児がコックリするように頭をたれる)花茎を持ち上げていました。 12日には、目に入るハルジオンはどれもみな花茎を伸ばし、開花を間近にした状態でした。 天花の一つが開花したのは18日でした。23日の活動日には、よく咲きそろっていました。 この春、雑草が開花する様子を見て気がついたことは、寒い日が続いて、 梅や早咲き桜の開花が遅かったわりには、生育も開花も早いように思えました。 ところが、ソメイヨシノの開花が例年になく早かったので、 それにくらべてハルジオンの開花が遅いように思えたのです。 いいかえると、雑草にとっての春は平年通りの足並みでやってきたが、藤沢あたりの花木にとっては、 春の来かたが始めは遅く、途中から急にスピードを上げて来たように見えたということです。
 この春の雑草の育ち方を見て気がついたことは、オオイヌノフグリやナズナ、ハコベのように、 低温でよく育ち、2〜3月に花を咲かせるものは、今年は早めにスタートしたように思われ、 桜の開花後に開花期を持つハルジオンやカラスノエンドウなどの開花は遅いように思われました。 しかし、これは、梅や早咲きの桜の開花が遅れ、一方、 ソメイヨシノの開花が早かったのと比較してそう見えたので、実際は、雑草類全体を見れば、 むしろ平年並みであったと、今はふりかえって気づきます。
 例年、4月の中旬から、遅咲きの里桜(八重桜)が開花します。 里桜にも、早咲きや遅咲きの品種がありますが、全体として、今年はほぼ例年通りの開花、 満開であったように観察しました。以前紹介した湘南台、丸岡公園の緑黄色の桜「御衣黄」も、 藤沢にあるということが知られるようになり、花時には連日、花見の客が次々訪れています。 変わったことは、ギョイコウに名札がついたことで、弱った木の手当ての方は、 されてはいないようです。 4月8日にはまだつぼみで、14日には、ちょうど開いたばかりの緑黄色でしたから、 平年並みといえます。 4月9日に大船フラワーセンターに行って、里桜の咲き具合を見たところでは、御衣黄はまだつぼみで、 八重桜はほぼ平年並みとの印象を受けました。
 5月7日のテレビで、桜前線が津軽海峡を越えたと放送されました。 東京での開花が1週間以上早かったソメイヨシノの開花は、東北ではさほど早まらず、 平年並みになっているようでした。 かたつむり前々号(No.283)でヤマザクラやオオシマザクラの開花はソメイヨシノほど早くなくて、 ここ数年来の傾向と同じ(平年より少し早い)でしたが、今振り返ると、ソメイヨシノの開花の早まりは、 地域(例えば関東南部市街地)によってちがいがあったようです。 六会日大前駅東口広場の「八重紅枝垂桜」は近頃、木も大きくなり、見事に咲くようになりましたが、 とりわけ今年は、ソメイヨシノより満開日が後になって、4月13日は特にきれいでした。 藤沢で平年より開花が1〜2日早かった枝垂桜(エドヒンガンの1品種)は、 奈良の長谷寺でも同じく1〜2日早かったそうです(それでも今年はソメイヨシノより後に咲く)。 テレビで知らせる各地の花だよりからは、その土地の春の進行状況を詳細に教えてくれます。 一度でも行ったことのある土地だと、その光景をイメージする楽しみが生まれます。
ハルジオン
1. ハルジオン‘06.4.18湘南台
八重桜
2. 八重桜‘06.4.14湘南台
御衣黄
3. 御衣黄‘06.4.14湘南台
八重紅枝垂
4. 八重紅枝垂‘06.4.13六会日大前駅東口
六会日大前駅東口
5. 六会日大前駅東口‘06.4.13

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