1月に入って寒い日が続きます。天気のよい日は多いので、よく日が当たります。
かたつむり前月号でマルバノニンジン(トウシャジン)の花が正月に咲いているのを紹介しましたが、
ふだん厳冬期には見られない花が、この1月には、あちこちに見られます。
1月12日に下田(伊豆半島南端)を歩きましたが、いつもなら花盛りのスイセンが、
この冬は早く咲きすぎて、もう、咲き終わりの状態でした。
下田港を見下ろす下田城址(日本で最初に写真術をきわめた下岡蓮丈の像がある)で、
タツナミソウがそろって咲いているのが見られました。古く渡来したとされるスイセンは別として、
日本の野草が1月に咲いているのを見るのははじめての経験です
(通常、開花はゴールデンウィーク)。私の庭の太郎冠者(早咲き椿で通常3月下旬に満開)が、1月の今、
満開を過ぎて散り始めているばかりか、3月咲の椿も咲き始めています。
それに、どこへ行ってもサザンカがよく咲いているのもこの冬の珍しい風景です。
私たちには寒いこの冬なのに、植物にとってはかなりの暖冬なのだろうか、いろいろ考えてしまいます。
そのほか下田で見たのは、早くも咲いた桜の花でした。もっとも数輪咲いただけでしたが、
1月16日に由比のサッタ峠(富士を眺める名所)でも数輪咲く桜を見ました。
熱海桜(寒桜)か河津桜だと思います。下田も由比も、フウトウカヅラが茂り、
アロエの赤い花が冬を彩る江の島と同じような気候のところです。
歩く先々、菜の花が咲き誇り、帰化植物のセイヨウタンポポも咲いていましたが、一方、
在来種のハルノノゲシも咲いていました。
しかし、いち早く春を知らせるはずのスミレ類の花はいくら探しても見つかりませんでした。
1月25日、大船高校のうしろの六国見山を歩いてオオイヌノフグリが一面に咲くのを見ました。
とくに面白かったのは、スイセンとコスモスが同時に咲く有様を目にしたときでした。
とうとうこんな世の中が来たのかとシャッターを押しました。
以上、この冬の、これまでになかったさまざまの現象を見て、私はいろいろ考えをめぐらせました。
「元来、スミレ、サクラ、ナノハナの順に咲く春の花が、暖冬だとなぜ、
ナノハナだけが冬のうちに咲き出すのか」、皆さんはどう考えますか。
冬野菜の出来がよいらしく、通常、正月は高値になるところ、今年はふだんより安く売られています。
大根が安いのが、この冬の特徴です。
暖冬といっても、年によってそれぞれ違いがあることがわかります。
科学は、考える学問のはずですが、単なる知識として受身のかたちで教えられ、
そのまま大学まで卒業してしまうと、考えるのが不得手な人が増えます。
大学の先生まで自分で考えることをしない人が出てニュースになりました。
|