暖冬に続く今年の春は、桜(ソメイヨシノ)の開花が二週間も早くなりそうだとの予測が
2月24日の天気予報で話されました。ところが、3月13日の修正で、開花予想は3月22日と、
平年より4日ほど早いだけとなりました。3月に入って寒い日が続いたためです。
昨年は、梅や一般の桜は、開花が遅れ。
ソメイヨシノと八重桜だけが数日早く咲くという珍しい現象が見られましたが、
今年は早春の花がすべて前倒しで、梅、椿、野草の花が半月ほど早く咲いています。
かたつむりの2月号でスミレの花だけまだ咲かないと書きましたが、2月22日、
鎌倉で咲いているのが見つかりました。
しかし、その後3月の寒さで、暖かい春の訪れは足踏み状態です。
さて、2月4日の活動で、藤ヶ岡中学校から藤沢駅まで歩いて帰りました。
20分ほどの道のりですが、何か面白い自然現象に出会えれば幸いと、
まわりの景色を眺めながら歩いていくと、郵便局交差点の手前から市役所旧館へのアプローチ、
国道側の土手上部の植え込みは、1955(昭和30)年頃造成されてから半世紀以上の年月を経て、
イチョウやクスノキは見事な大木に成長しましたが、その中のあって、40年以上も前から、
あまり大きくなっていない椿の木が1本あり、
当時から「この椿は、とても珍しい種類だ」と聞かされていました。
葉が、普通の椿の半分の大きさなので、一目で違いがわかります。
しかし、春になっても、一向に花をつけるようすはありません。
葉の形から想像するとワビスケの系統と見当はつきますが、花がなければ話になりません。
ぜひ花を見たいものだと、
春になるとその道を通るたびに注意して見ることを繰り返して数十年が過ぎました。
そして、この2月4日、この椿の横を通ると、なんとたくさんの花をつけているではありませんか、
とてもうれしくなって何枚も写真をとりました。
思ったとおり、見たこともないワビスケの一種でした。
ワビスケ椿とは、早咲き、小輪、抱咲き(半開き)、
ワビ芯(ツバキの雄蕊は根元が筒状に合着するが、ワビスケでは退化して盃状になる)
という特徴を共有する品種群のことです
(侘助=ワビスケ:茶道の祖千利休の愛した椿で、庭男の名にちなむという)。
これらの特徴は、ワビスケの原木にはすべて備わっていますが、その後生まれた品種では、
小輪抱え咲きであれば、
冬咲きの性質や盃状の退化した雄蕊でなくても○○ワビスケと呼ぶようになりました。
正月咲きの太郎冠者は抱え咲きに近い中輪で、雄蕊はやや小さな筒芯ですが、
ワビスケの仲間と見られます。
ごく稀に実る太郎冠者の種からは、ワビスケに似た子孫が生じます。
話をもどして市役所入口の椿は葉も花も本ワビスケに似ていますが、
雄蕊はやや退化した短い筒芯で、花粉も出さないようでした。
椿の図鑑を調べれば何という品種かわかるでしょう。
そうすれば数十年越しの私の疑問は解けるかも知れません。
歩いたおかげで一つの楽しみができました。今年は椿の当たり年です。
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