今年の桜、特にソメイヨシノの開花については、気象庁も予報に苦労があったようです。
当初は二週間も早くなる(3/12)との予測から、
二転三転して平年より4日早い(3/22)となり、実際は3月20日でした。
もっともこれは、靖国神社の基準木で、東京の他の場所ではもっと遅く、
藤沢ではさらに数日遅れ、3月26日、ようやく咲きはじめました。
このようにソメイヨシノの開花が遅れたのは、3月に入って寒い日が続いたためと説明されます。
1月頃は暖冬で梅は早く咲きましたが、これから桜のつぼみが大きくなるというときに寒さが来たので、
桜は開花が遅れたというわけです。
これに対して昨年は、梅は開花が遅れ、桜が数日早く咲くという珍しい現象が見られました。
今年の場合、早春の花がすべて前倒しで、梅、椿それに野草の花が半月ほど早く咲いたにもかかわらず、
桜の開花にはブレーキがかかったかたちになりました。
春の訪れは一様ではなく、年によりさまざまであることを、
桜の開花が教えてくれるような気がします。
昨年と今年の桜の咲き方がこんなにも違うのを見て、一つの疑問が浮かびました。
それは、桜の中にも開花習性の異なるものが、かなりあるのではないかということです。
その疑問の始まりは、今年1月11日、伊豆の下田市内を歩いて、桜の花が数輪咲いているのを見つけ、
さらに1月16日、静岡の薩●※(サッタ)峠を歩いたとき、
同じく数輪咲いた桜を発見したことによります。
この疑問はさらに続き、2月1日、
静岡市内の駿府城跡公園で梅と同時に咲いている河津桜を見て感じたことは、
早咲き桜の開花習性は梅と同じではないかということでした。
河津桜の咲き方を去年と今年と比べると、去年は遅く、今年は早いのです。寒桜も同様でした。
例年河津桜の開花は梅よりもやや遅いので、
やはり梅と桜は開花のプログラムが違うのだなと従来の説に何の疑問も持ちませんでした。
この開花のプログラムというのは、以前テレビでも紹介されましたが、簡単に言うと、
一定の低温が続くと、休眠が打破されて、開花の準備ができあがり、それから後は、暖かくなり次第、
つぼみが成長して、梅は開花するが、桜の場合は、
一定以上の温度になる時間がある到達点まで積みあがらないと開花しないので、
桜の開花は梅より遅れるのだというのです。
しかし、今年のように、例年なら梅(普通種)より開花の遅い河津桜が、
早咲き梅(冬至梅、寒紅梅)とほぼ同時といえるほど早咲きしたのを見ると、
やはり、寒桜系は梅と同じ低温感受性の開花習性をもつと思えるのです。
まだまだ疑問は続きます。例えば福島県以北の東北では、梅、桃、桜が同時に咲くのは、
どう説明するのか。
また、沖縄で1月に咲くカンヒザクラは、藤沢では今年は平年並みに3月20日に満開です。
ところが、このカンヒザクラとフジザクラとの交配で生まれた
「おかめ」桜の今年の開花は2月24日で例年の3月上旬に比べて一週間ほど早くなりました。
我が家の寒桜(玉縄桜系)は2月11日、例年より4日早く開花しました。
一方、ヒガンザクラとヤマザクラはそれぞれ、ここ数年来、ほぼ平年並みの開花です。
ところがソメイヨシノはぶれが大きく去年はヒガンザクラより早く、
今年はヤマザクラより遅くなっています。
桜の品種ごとに開花のプログラムは微妙に違いがあるのだろうと思うことにしました。
ここ数年の桜の咲き方には、いろいろ考えさせられます。
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