2月には梅の開花が待たれます。
ここ十数年來の暖冬傾向にもかかわらず、3年前、梅の開花が大幅に遅れたことがあり、
「かたつむり381号(2006年2月12日)」にそのことを書きました。
そのとき以来、梅の開花が気になって、調べたことを書いて見ました。
東京から関東南部あたりの平年の梅の開花は、花梅(庭に植えて花を観賞するのが目的の)では、
特別早咲きの品種が12月からで、ふつうの品種は1月下旬からぽつぽつ咲きますが、
開花といえるのは2月半ばから3月半ばにかけて(満開は3月上旬)です。
一方、実梅(実をとるのが目的で栽培される広大な梅林)は半月遅れで、2月下旬に咲き始め、
3月いっぱい花が見られ、最盛期は3月中旬になります。
しだれ梅の開花は花梅や実梅よりさらに遅く、3月初めから咲き出し、20日頃が満開です。
もっとも、年により3〜4日のずれがあり、例外的には1週間ぐらいは前後することがあります。
ですから、ある年が早い開花で、次の年が遅い開花であると、その差が一週間以上にもなり、
極端な場合、ある年が例外的に早く、翌年が例外的に遅い場合は2週間もずれることになります。
以上は満開になる時期の話で、咲き始めの一輪、二輪というのは、もっとぶれがあります。
梅と桜とは近縁の植物(同じプルヌス属)にもかかわらず、
開花に至るプログラムにかなりの違いがあるようです。梅は寒さが極まると、
つぼみを閉じこめていた扉の鍵がはずされ、あとはそれぞれのつぼみが暖まると花が開くのに対し、
桜は寒さが峠をすぎただけではだめで、その後の暖かさの積み重ねがあるところまで達して
はじめて扉が開放され一斉に花が開くという二重の開花条件があるのです。
さて、’03年はまれにみる暖冬で、咲き始めは早く、最盛期は平年より半月も前にずれました。
平年ですと、片瀬常立寺のしだれ梅は、本堂正面両脇の白しだれ
(わずかにピンクがさす、「思いのまま」)が花梅と同じに2月中旬に咲きだしますが、
他のしだれは3月初めに咲きだし、3月いっぱい花が見られます。満開は3月20日頃です。
’04年の場合は、平年より十日くらい早く、2月上旬から咲き出し、
満開は3月上旬だったと記憶しています。’05年は、早いものは特別早かったのですが、
多くの品種は’04年と同じ、平年の10日前だったと思います。’06年は前述通り開花が非常に遅く、
熱海では2〜3週間(満開は1ヶ月近く)、東京では10日ほど、平年より遅くなりました
(ということは、’03、’04、’05年より、20〜25日遅いことになります)。
’07年、’08年は、またもとにもどって、近年の傾向通り、
(平年=30年平均より10日早い)に開花しています。そこで、’09年の今年はどうなのか、
今年も早咲き(冬至梅、寒紅梅)が平年より早めのようなので、普通の品種の梅も、
近年並み(‘06年を除いたこの10年平均=平年より10日早い)と予想されます。
もし、そうなら、この324号が出る頃には咲いていることになります。
梅はもともと外来種なので、
日本の気候にぴったり適合する遺伝子の組み合わせをもっているわけではありませんから、
土着の植物より、開花時期は不安定で、
少しの気候条件の変化でも、開花の時期が大きく前後するのかも知れません。
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