このレポートは、かたつむりNo.325[2009(平成21)3.22]に掲載されました

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サクラの開花再び
運営委員 鈴 木 照 治
 
ソメイヨシノ080328
■ソメイヨシノ080328
カンザクラ090206
■カンザクラ090206
カワヅザクラ090211
■カワヅザクラ090211
タマナワザクラ090302
■タマナワザクラ090302
ヒマラヤサクラ081226
■ヒマラヤサクラ081226
玉縄桜の子090302
■玉縄桜の子090302
 3月の植物の話題は、なんといっても桜の開花です。 「かたつむり」に桜の開花について書いたのは、もう、8回にもなりました。 それでも、まだまだ話題は尽きません。 年度の終わりの3月号には、まだ1度も書いてないのをよいことに、 久しぶりにもうひと話させてください。 さて、今年もソメイヨシノ桜の開花は早いと予想されます。 例年より一週間早く、わが家の早咲き桜(玉縄桜の種を蒔いて育てた木で、 ソメイヨシノの孫になります)が、2月7日に早くも咲いたことや、藤沢本町、 御殿橋近くのカンザクラが2月3日に3分咲き、 2月6日には満開状態になっているのが見られたことなどからの推定です。 かたつむり2月号で、今年は梅の開花が早いと予想しましたが、それは、その通りになりました。 しかし、ウメの開花が早い年に、サクラの開花も早いとは限りません。 2006年のように、梅が極端に遅いのに、桜がなんと平年並みということもあって、 梅と桜の開花習性には、かなりのちがいが見られます。 最近の暖冬傾向によるのでしょうか、梅も桜も、それ以前の30年間平均よりも、 1週間以上も早く開花するようになっているのは確かなようです。 それに、近ごろはあっちでも、こっちでも、早く咲く桜を植えて、 それが花いっぱいに咲くようになったので、2月、 3月に早咲き桜を見ることも珍しくはなくなりました。 藤沢でも、何年か前に植えた河津桜が大きくなって2月下旬には毎年見事に咲く姿が見られるようになりました。 カンザクラはそれより早く2月中旬には咲く上、大木があちこちにあることが知られています。 (湘南台公園に玉縄桜、円行馬渡橋近くに河津桜、六会の日大構内に寒桜)藤沢における桜の平年の開花期は、 寒桜が2月中旬〜下旬、河津桜が2月下旬〜3月上旬で、 玉縄桜は年により河津桜より早いときと今年のように遅いときがあります。 おかめ桜が3月上旬〜下旬、沖縄で1月に咲く寒緋桜は、藤沢では例年3月中旬ですが、 今年は上旬から咲きました。 十月桜や冬桜は、10〜12月に咲きますが、春の開花は3月下旬〜4月上旬で、ソメイヨシノと同じです。 ところが、12月に咲く珍しい桜も近ごろは見られるようになりました。 ヒマラヤザクラという、木の姿はフジザクラによく似た桜で、県下でも12月に満開になります。 (熱海と横浜で見ました) 近ごろ見られるようになった早咲き系の桜は、いずれも寒緋桜の血を受け継いでいるように思われます。 私が子どもの頃は、こうした早咲き桜はなく、鎌倉に、冬に咲く桜を見て不思議に思っていました。 河津桜は、昭和30(1955年)頃、河津の河原に生えていたものが発見され、育てられたという原木が河津にあります。 横浜緋桜というとてもきれいな桜は寒緋桜の交配種ですが、開花はソメイヨシノより少し(1〜2日)早いだけです。 (横浜、港の見える丘公園)大船フラワーセンターの説明板によると、玉縄桜はソメイヨシノの実生で、 同センター内で発見されたものです。 藤沢では河津桜より早く咲くとばかり思っていましたが、今年は河津桜よりやや遅くなりました。 これも私にとっては不思議に思うことです。玉縄桜の花の色は、河津桜よりうすく、白に近いピンクです。 同センターでは、寒桜(ヤマザクラと寒緋桜の雑種といわれます)がありますから。 寒桜の花粉を受けたソメイヨシノが実をつけて、玉縄桜が生まれたと推測することも可能です。 それらのこともすでに研究されているかもしれません。 昔からある早咲きの桜として、私の記憶にあるのは、三浦の荒崎で、2月下旬に梅とともに咲いているコヒガンザクラでした。 暖かい三浦ならではの風景と思っていました。 ところが、このごろ近所に早咲きの桜が咲くようになり、今年も2月下旬に見事に咲いているので近寄ってよく観察すると、 コヒガンザクラに違いないことがわかりました。遠くから見るとまったく梅そっくりです。










コヒガンザクラ090315
■コヒガンザクラ090315


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