毎年、満開のフジの花が5月を実感させます。
藤沢市の花がフジなので、市立の公園や小中学校の校庭には、必ずといってもいいほど、藤棚があって、フジの花を見ることが出来ます。
年々続く暖冬の影響か、今年も春の花の多くが、平年より10日くらい早く咲きました。
中でもフジはとりわけ早く、八重桜と同じ4月13日に咲きそろいました。
例年の満開を期待して、5月1日に新林公園を訪ねると、すでに盛りを過ぎて、葉が茂っている状態でした。
藤沢にはフジが自生しているので、この時期に野山を歩くと、思いがけないところに花が落ちていて、
見上げると高い木の上の方に、一面に花を咲かせているフジを見つけます。
藤沢の地名も、フジが多いことから名づけられたといわれます。
藤沢橋から下流の御所ヶ谷橋あたりまで、昔、境川が大鋸山地を削ったガケには、フジがよく茂っていて、
季節には見事に咲きそろっていたと想像されます。
アサガオのつるは左巻きに巻き上がりますが、フジのつるは右巻きとされます、
ちなみにキウィーフルーツは左巻きなので、冬の葉のないときでもどちらなのか区別がつきます。
ところが白い花のフジがあって、こちらは左巻きです。これはフジとは別種のヤマフジの白花でシラフジと呼びます。
花の房が短く、フジの半分しかありません。藤沢の山に自生しているのはフジでヤマフジは見たことがありません。
ただフジというとこの2つの別種を区別しにくいので、園芸関係では、フジのことをノダフジといって区別します。
(ホンアジサイ、ニホンサクラソウなども園芸呼称)フジにも白花があって(シロバナフジ)、
ヤマフジ系のシラフジとまぎらわしいのですが、シロバナフジは右巻きで、シラフジは左巻きです。
花房の長さも違い、シロバナフジなら30cm以上、シラフジは15cmぐらいだから、はっきり区別できます。
白花のフジを見たら、花房の長さに注意してください。
右巻きか左巻きかは、夏に伸びて巻き上がるつるを見ないとわかりづらいのです。
ニワフジという、つるにならないで、叢生し、赤い花をつける別種があり、山間部の河原で見かけたことがあります。
フジの園芸品種にも赤花がありますが、つるになるのではっきり区別できます。
藤沢には大きな藤棚や見事なフジはありますが、さまざまなフジを見るなら、
大船フラワーセンターか、衣笠の横須賀菖蒲園がよいと思います。
「わが国は 草も桜を咲きにけり」というサクラソウを詠んだ古い句がありますが、フジにも、クサフジという、
きれいな青紫色の小さな花房をつける草があります。
もちろん、フジとは全く違うカラスノエンドウに近縁の草で、ちょうどフジの花の季節に合わせて花を咲かせます。
先日、長後の引地川沿いで、このクサフジが、たくさん咲きそろっていて、見事でした。
鵠沼でも、江の島でも見ましたから、かなりありふれたもののようです。
六会日大近くによく見かけるので、レンゲソウと同じ緑肥用ではないかという人もいました。
丈夫なもののようですから、ワイルドフラワーとして、学校や公園などでも利用できると思います。
育ててみてはいかがですか。
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