ヒカリゴケの話 | ||||||||||||||||
運営委員 鈴 木 照 治 | ||||||||||||||||
コケ(蘚苔類)の多くは、森林の中の、落ち葉の積もらない場所(針葉樹や下草の下など)に生えます。 外光(さえぎるもののない場所に当たる光)の1%にも満たないわずかな光のもとでで生活しています。 そのコケ類でも生育の難しい、さらに微弱な光の下でも、温度や湿度がよい条件なら、ヒカリゴケが生育できるのです。 特定の方向から射し込む光をレンズを通して集め、葉緑体にうまくあてることができるからだの仕組みを持っているからです。 ヒカリゴケは、今では、ごく稀にしか見られませんが、以前はあちこちの小さな横穴や洞窟で見られました。 鎌倉の名越の奥にある「黄金やぐら」は有名でしたが、今では明るい道路わきになって、説明板だけで、ヒカリゴケはありません。 昔、大学の研究室で、顕微鏡を使っているところでは、丸底フラスコに青い水を満たして、外光を集め、 鏡で顕微鏡に導く装置がありました(今では電気集光器)。 丸いフラスコに水を満たしたものが、一つの大きなレンズとなって、一方から来る光を球面反対側のほぼ一点に集めます。 ヒカリゴケの場合、細胞がほぼ球体なので、このフラスコと同じ原理で、集めた光を葉緑体にあてて、 ほかのコケ類でさえ利用できない微弱な光で光合成が出来るしくみです。 このしくみを模型を使って確かめてみようと思い、身近な材料で試作してみました。 簡単に作れて、大体うまくいき、のぞき込むと、奥で光るのがわかります。 ビー玉、銀紙、セロテープまたは接着剤、黒い紙(補強に牛乳パック、画用紙に墨を塗ってもよい)……で作れます(図参照)。 もし、丸底フラスコで大きな模型を作り、一方から光を当てれば、おおぜいで観察できるでしょう。
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