夏季活動の行き帰りは、長い時間、バスに乗りました。そこで見たビデオで、地球の歴史の中で、大きく変化した事件を扱っていました。
地球内部のエネルギーがもとで大陸を載せたプレートが移動し、環境に変化が起こると、それがもとで、生物の世界、
とりわけ私たちの先祖の姿が大きく変わる様子をコンピューターグラフィックでわかりやすく説明されました。
古生代のなかばの先祖は、まだ魚類の段階で、ひれの変化した4つの肢(アシ=手足の総称)を持っていました。
陸地に近い水底は、それ以前に陸上に進出した植物が造る大森林から落ちる大きい枝で埋め尽くされ、
ジャングルジムのように大型動物が移動しにくい環境でした。
4つの肢はこのような環境で動き回るのに役に立ち、これが後に陸上への進出につながるのです。
ここで私が注目したのは、太古の樹が大きい枝を落とすということでした。
藤沢にも生きた化石と呼ばれるメタセコイアの並木があります。
市民会館前にある歩行者用広場の一角に、
メタセコイアの高いところにある枝葉が手の届く目の前で観察できる場所(富士山も見える!)があり、
秋の終わりに20枚ほどの葉をつけたままの小枝(長さ数cm)がいっせいに落ちます。
針葉樹の中には他にも小さな枝ごと葉を落とすものもあります。例えば、マツとスギがそれにあたります。
松の葉は2本一組で、つけねのところでくっついたまま落ちますが、それは、2枚しかない短い枝なのです。
また、スギは針のような葉をたくさんつけたまま、10〜20cmの小枝ごと落ちます。
秋の台風の後、杉林を歩くと、まだ緑の残る小枝が多数落ちているのが見られます。
惜しいような気がしますが、これはスギの木にとっては、むしろ都合がいいことのようです。
木が茂りすぎると、日光の当たらなくなった下枝が、いつまでも幹にくっついたままでは、木にとっては負担になります。
植木屋さんが、庭の植木のむだな枝を切り落とすと、木が生き生きとするのは、木全体にまんべんなく日が当たるようになるからです。
こうしてみると、日の当たらなくなった葉が落ちるような仕組みが、植物にはとても大切なことがわかります。
古生代のある時期、陸上に進出して、森林を造った植物は、日陰になって役に立たなくなった下枝が、
大枝ごと「ドサッ」と落ちていたのでしょう。
やがて、小さな枝でも、いらなくなりしだい、さっさと落ちてくれるような仕組みを身につけたものが、
現在まで子孫を残したのだと思います。
先日、房総半島南端の野島崎灯台に行き、そこのシマナンヨウスギの落ち葉を見ました。
やはり、予想したとおり、半分生きているような、
20cmほどの太いひものような小枝が木の根元に落ちて厚く積もっているのが見られました。
それを見て、大昔の樹が大枝を落とすのを想像することが出来ました。
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