今年の冬は、赤い実が目立つように思います。「思います」では科学とは言えませんが、科学も最初は感覚から出発し、
事実の確認、仮設、実証を経て成立するので、この話、科学まで行き着くことが出来るかわかりませんが、まずは、お聞きください。
私の家のせまい庭に、千両と万両が多数あります。例年、1月になると赤い実はすっかりなくなります。鳥が食べてしまうからです。
近所でも網をかけたりして冬まで赤い実を守っているのが近年の風景です。
我が家もこの冬、12月に赤い実が付くと、半分は切り枝にして家に取り込みます。
そして庭に残る半分のその後を観察すると、なぜかいつまでも赤い実が残っているのです。
今年は良く実をつけたナンテンの実もそのままです。
この冬とくに鳥が来なくなったわけではないのに、どうしてなのか不思議です。
例年と比べて、ヒヨドリとオナガはあまり見かけませんが、ムクドリの群れは見かけました。
セグロセキレイが家の前の舗装道路によく現れます。
この冬の実の付き方が、例年より多かったのも確かです。秋には、山の木の実が今年は不作でクマが里に出てくるとニュースされました。
豊作になった我が家の木の実とくらべて、ますます疑問が大きくなります。これが我が家だけなら、近所の猫が見張っているからとか、
個別の事情によるものと解釈することも可能ですが、あちこち見る限りどこでもこの冬は赤い実がよく付いているのです。
そこで、出歩くたびに注意して観察すると、ますますその確信が深まりました。
かたつむり12月号では、まだこの冬のセンリョウ、マンリョウの撮影はできなかったので、1月現在の写真を載せます。
ヤブコウジ(十両)にも実が成りました。
これらの植物はいずれも、昔から人家に近い森の中の日陰に、その命をつないできたものです。
環境問題が取りざたされるたびに、ここ10年ぐらいは、「温暖化」ということばが、いつも出てきました。
そのため、「かたつむり」にも、温暖化にまつわる植物の様子を書き続けてきました。
近ごろは人々の会話にも「温暖化」がしばしば話題になり、多くの人に意識されるようになったと思われます。
それが、COP10を前にした一昨年あたりから、これからの環境問題のキーワードとして「生物多様性」がいわれるようになり、
昨年の環境サミットでは、これが温暖化同様、緊急の課題とされています。
そこでこの、生物多様性の何が、どう問題なのか、ということが、今ひとつわかりづらいのです。
絶滅危惧種の保護と生物資源流出禁止の2つが、具体的に問題とされているようですが、もっと身近な、
日々の生活に密着した生物多様性の理解とは何なのか、何が本質か、教育にたずさわる人にこの問題がどう把握されているのか、
気がかりなことです。
トキやパンダ、沖縄のサンゴ礁の保護の問題、あるいは世界の一部の地域で問題になっていることが、テレビでは放送されていますが、
身近に起きていて、直接私たちが観察できることもいろいろあります。
「かたつむり」に載せてきた私の寄稿も、これまで「温暖化」だったのを、昨年春頃から、「多様性」に方向を変えています。
興味のある方は、3月号あたりから読み返していただければ幸いです。
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