6月、江の島での野外活動は、良い天気でした。
始めに集まったオリンピック広場の芝生はシバよりもシロツメクサの方が優勢で、四葉のクローバも見つかりました。
ゴルフ場のように他の草の生えないシバだけの芝生にするのは管理にとても手がかかります。
それは、きれいな花壇を維持するのと同じです、少しでも手を抜くと、すかさず雑草が生えてきて、除草に追い回されることになります。
ときどき大勢の人が立ち入って、よく踏まれる場所なら、シロツメクサの群落が、安定して存続することになります。
もっとよく踏まれるところはオオバコの群落が成立します。
シロツメクサ群落もオオバコ群落も、都市整備の進んだ近ごろは、あまり見かけなくなりました。
オリンピック広場のシロツメクサ群落は、管理状況(人に踏まれる程度を含めて)とのバランスで存続しているわけです。
中に混じってアカツメクサも見られます。
広場を出発して、横断歩道を渡り、シラス丼の店先を通り過ぎると右手は広い駐車場ですが、
聖天島公園までの間の右側金網フェンスの下には草丈わずか5cmのタイトゴメ群落が続き、満開の黄花を咲かせていました。
江の島特産のタイトゴメは、他の草の生えない岩場の海岸に群落をつくりますが、今ではひじょうに少なくなりました。
そして、このようなタイルを敷きつめた広い歩道の金網フェンス沿いが唯一、生き残れる最後の場所になったのです。
大きくなった雑草が除去されるという人間の営みと、強い潮風の吹きつける陽光地という自然環境との微妙なバランスで、
このような大群落が成立するのでしょう。
聖天島の岩を観察してから、さざえ島に向かう途中、道路に沿ったグリーンベルトには、海岸に適した植物が植えられていました。
そこにはハマヒルガオの群落が広がっていました。この季節、辻堂海岸には大きな群落が見られます。
こんなところに小規模の群落が見られるのも江の島らしいと思いました。
団員のみんなは、さざえ島の人工タイドプールがよほど気に入ったようで、なかなか立ち去りがたい様子でした。
聖天島の脇を通って、家と家のあいだの抜け道を迷いながら、細い急な石段を上がって中津宮に行き、社殿の後ろの大木の残骸を見ました。
その大木の幹を輪切りにしたベンチは直径80cmくらいで、以前、私が年輪を数えたら120あって明治20年代にさかのぼることが読み取れ、
東京国立博物館の大木より古いヒマラヤシーダーと推定できます。山二つで赤土のがけを観察しました。
その近辺には毎年ノコンギクの海岸型といわれるハマコンギク(一名エノシマヨメナ)が見られますが、
昨年そのあたり一帯がきれいに除草され、貴重な(と思っているのは私だけ?)エノシマヨメナを1本も見つけることができなかったのです。
やってしまったナ、と思いました。地域の観光にたずさわる方でも、エノシマヨメナを知らない人が多いからです。
でも、私はそれほどガッカリしませんでした。江の島で、他の場所にあることや、最近では辻堂海岸でも見ているからです。
そんなわけで、昨年、花は見られませんでしたが、今年、以前より株数を増して、生えているのを確認できたのは、私にとっては、この日の大収穫でした。
江の島は、行けば必ず「お土産」を持たせてくれます。
潮の引いた南側の磯で、全員が生き生きと観察しているのを眺めて、これが何よりの「お土産」だと思いました。
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