昨年6月、藤沢市民会館入り口近くの「学習文化センター*」に行く途中、手前の交差点近くに、
藤沢では珍しいオオカメノキというブナ林を標徴する低木の並木があるので、通るたびに、一目だけの観察をしました。
この日、その一本に近寄ったところ、根元に白花をいっぱいつけたホタルブクロを数株見つけました。
藤沢市内で目にするホタルブクロは、通常桃色の花をつけます。これは丹沢山地から県内内陸部にかけての特徴です。
一方、三浦の山々で見るものはどれも白花であることに、私はかねてから興味を持っていて、
以前、かたつむりにも書いたことがあります。私がここでとくに面白いと思ったのは、この数株のどれもが、
白花をつけているにもかかわらず、草全体が赤みを帯び、特に茎が紅紫色だったことです。
新林公園には、以前から白花のホタルブクロがありましたが、それは、三浦半島のものと同様、茎葉は明るい緑色でした。
その後、新林公園の古民家付近にあったホタルブクロは見当たらなくなり、
最近その同じ場所にふたたび見られるようになりましたが、白のほかに桃色の花が咲いています。
これは、よそから移植された疑いがあります。市民会館入り口のものも、自生ではなく、移植されたものと思われます。
新林公園の裏山には、今でも白花のホタルブクロが自生しています。同公園では、桃色株を取り除き、
山に続く木の根元などには白花のみを残すように勉めてほしいと願います。
取り除いても、また生えてくるようなら、それは自然の成り行きで仕方のないことですが、
もし、誰かが知らずに桃色株を持ち込んだのなら、それは、園芸品の扱いで花壇に植えてしかるべきと考えます。
ところが近ごろ、片瀬以外の市内あちこちで、白花のホタルブクロを見る機会があります。
栽培品ではないかと思います。6月の科学少年団江の島の活動では、参道の店の前の植木鉢に濃い紫色のホタルブクロを見ました。
もともと江の島に自生するのは、白花ですから、この先どうなるのか、注目しています。
近ごろ市内で、普通のメダカを見る機会がありますが、「藤沢メダカ」でないものが多いと聞いています。
境川も引地川もヒメダカや他の水系のものが持ち込まれ、かっての自然そのものとは変わっています。
最近見たテレビのサスペンスドラマでは、「キブシ*(どこの山にもありふれた低木)のDNAが地域ごとに違うので、
九州のものと特定できた」としていました。白花ホタルブクロの分布も、これまでのように、高座丘陵側が桃花、
三浦丘陵側が白花と明確な分布領域のの違いがあったのが、今後、なしくずしにあいまい化するのではないかとおそれています。
かって鵠沼にあったデンジソウやヒメイヌタデ、なくなりそうなクゲヌマランやハマカキランのように、
藤沢を舞台にした植物たちの分布の変遷についての物語を知ってほしいと思って書きました。
*今年の3月でなくなると聞きました。
*江の島のはエノシマキブシ(ナンバンキブシ)として、以前かたつむりで紹介しました。
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