2月になっても、とても寒い日が続きます。
科学少年団で、植物の野外観察をするのは、春の雑草を食べる会、初夏の江の島や市内の活動と秋冬の自然観察になりますが、
冬の植物を見るのは、ものの見方を身につける力を養う良い体験になると思います。
多くの植物にとって、生活に最も適した温度環境は、15〜25℃あたりです。
10℃以下の気温が続くと、ほとんどの植物は生長をやめて、休眠状態になります。
このとき、緑の葉をつけたままだと、生きている葉はエネルギーを消費するので、植物体内に貯えられたエネルギーが、
しだいに失われていきます。
ですから、今年のように一日の最高気温が10℃以下の日が長く続く冬は、
冬に葉のない木の方が葉をつけている木よりも有利(エコ)だということになりませんか。
もっとも、11月半ばに落葉して、4月下旬に新葉を広げるまでの間には、一日のうちで何時間か、気温が10℃以上になる日が、
かなりの日数あるので、冬も緑の葉をつけた木(常緑樹)も生きていられるし、
まわりの落葉樹との競争に勝って生き残ることもできるのです。
500〜600m以上の山地や東北地方より北の平地では、冬中10℃以下の日が続き、常緑樹(暖地系)の生存の余地はありません。
(そのような環境でも、常緑樹(寒地系)がないわけではありません。常緑針葉樹など、ずっと寒い地方にも広く森林をつくっています)。
冬の間、落葉して休眠している雑木林を歩いて、植物の冬越しの様子を観察するのは、
植物に興味・関心をいだき始めた人に特にお勧めしたいことです。
そして1ヶ月後の3月下旬にもう一度、同じ場所を訪問すると、そこはもはや冬ではなく、春の息吹を感じ取ることができるでしょう。
月に一度、同じ場所を観察するだけで、植物の生活がどんなものなのか、植物の生活が、
社会の中で生きるわれわれ人間の生業(ナリワイ)にどれほどヒントを与えてくれるか、連想する面白さが沸いてくると思います。
30年近く続いている科学少年団の歴史の中で、「冬の植物」を主題にした観察は、
1993(平成5)年の善行・六会と1994(平成6)年の片瀬竜口寺裏山の2回、18・9年も前です。
冬芽の観察は3月中下旬まで可能です。いろいろな冬芽を見つけてください。
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