年によって違う春の訪れ方 | |||
運営委員 鈴 木 照 治 | |||
2011年の春の訪れ方は、いつもと違うパターンで、梅の開花が早く、桜の開花が遅かったので、 私にとっては大変珍しいことのように思われました。これに対して、2012年は、梅の開花が非常に遅れ(前年より1ヶ月近く遅い)、 早咲きの桜(カワヅザクラ、タマナワザクラ)も、例年なら花の見られる下旬に行って見ましたが、花芽が少しふくらんだ程度で、 つぼみはまだ顔を出していませんでした。今年の開花は3週間ほど遅いようです。 いつも、卒業式に咲いている六会小学校のカンヒザクラは、今年は間に合うでしょうか。 一方、ソメイヨシノはじめ普通の桜の開花は、梅や早咲き桜とはちがって、必ずしも遅くなるとは限らないことは、 ここ10年来の観察で確かめられましたが、テレビでも、桜は少し遅いか、ほぼ平年なみとの予想です。 また、大きな寒波がたびたび来るのは、エル・ニーニョとは別に、北極海の氷が異常に少ないのが原因との説明もされました。 昨年(2011)3月9日、藤沢市内の桜の名所を巡る観光協会のイベントが企画され、その下見の案内を頼まれて、 8kmの全コ−スを歩きました。ソメイヨシノはまだ開花には20日ほど早いのですが、カワヅザクラは満開でした。 出発点の小田急線藤沢本町駅に隣接する伊勢山公園は、市内で一番古い桜(昭和11年植樹)の名所ですが、 今は最盛期(昭和30〜50)の面影はありません。それでも最近、整備復元に力を入れて、多くの苗木が植えられました。 あと2〜3年もすれば、早咲き、遅咲き、一重八重、いろいろな桜がきれいな花を見せてくれるでしょう。 明治小学校の東側、引地川に沿う柏山公園でもかなりの桜が見られます。ここでは樹齢十年ほどのカワヅザクラが数本満開でした。 その中の1本に古びた木の札が下がっていて、何の気なしに見ると「この木に花が咲く頃、私はいないでしょう」と読めたのです。 今、私たちが見ている花は、何年か前、木を植え、それからずっと護られてきたから、と気付かせてくれました。 靖国神社境内にあるソメイヨシノの開花基準木は、代替わりして三代目にその座を譲ると新聞(昨年3月)に出ていました。 気象庁ではすでに3年前から、公式の開花予報をやめていますが、開花のニュースはテレビに出ます。 ソメイヨシノの樹齢は、野生の桜類(300年)と較べて短く、東京近辺では50〜60年で最盛期を過ぎ、以後しだいに樹勢の衰えが目立ちます。 湘南台駅近くの円行公園から下流の円行大橋にかけての引地川両岸は見事なソメイヨシノのの並木で、以前から有名な藤沢本町駅近くの伊勢山公園や、 大和の千本桜よりも木が大きくて見事です。 ソメイヨシノやヤマザクラの花が咲くと、いよいよ春本番だという気がします。 田畑で春の農作業が始まりますし、雑草もこの頃から目だってよく育つようになります。 八重桜の咲く4月中旬から、藤やつつじのきれいな5月上旬まで一ヶ月足らずが、はるの若草の盛りです。 花のきれいな草や、食べられる草に限らず、より多くの草に目をそそいでほしいと思います。
*(民話の筋書き):春をもたらす神様は、冬のさなかに遠い国を出発して、多くの日数をかけ、夜も昼も駆け通しでやってくる。
途中のいろいろな事情で、到着が早くなったり遅くなったりする。
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