江の島の場合、人が近寄ることのできない断崖絶壁に、海岸(断崖)植物群落がありますが、遠くから眺めるだけで、
近寄ることはできません。
ただ、道に近いところにも、断片的に海岸植物が生えているので、イソギク、ハチジョウススキなど、江ノ島の代表的な植物は、
観察することが可能です。
一方、岩の海岸に対して、古くから人の住む砂浜の海岸は、今では造成が進んで、自然の状態からかけ離れた環境に変わり、
砂浜固有の植物(海岸砂丘植物)はほとんど姿を消しました。
昔、砂浜に敷いたように生えていたというハマボウフウは、今では探しても見つかりません。
見渡す限り続いたハマヒルガオやコウボウムギの群落も、いまでは失われて、ところどころにかろうじて残っている有様です。
こうなると、海岸固有の植物を観察するためには、そのための植物園が必要になります。
辻堂団地のバス停から歩いて5分の国道沿いに、海岸砂丘植物を集めた珍しい植物園があることは、あまり知られていないようです。
梅や桜、あるいは紅葉の名所は知られていますが、野生の植物を集めた植物園は、勉強や研究目的以外でも、
行ってみるとおもしろいと思います。
花に興味があるなら大船フラワーセンター、園芸、栽培なら花菜(かな)ガーデン(平塚)ですが、
海岸砂丘という特有の環境に生活する植物を集めた植物園はあまり例がありません。
ここでは、昔、湘南砂丘一帯に広がっていた海岸植物が、保存されています。
5月中旬から1ヶ月は、初夏という表現がぴったりの季節です。
ハマヒルガオに代表される海岸砂丘植物が、最盛期を迎え、花を咲かせ、実を結ばせる、見学には最適の時期です。
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