毎年、4月に行われる雑草を食べる会の野外観察で、毒草の代表として紹介されるケキツネノボタンは、
いつもの年なら、水田のまわりの土手に、黄色い花をつけたたくさんの株が生えているのが見られるのですが、
昨(2012)年はどうしたわけか、少ししか見られませんでした。今年の4月6日に行って見ると、
昨年1〜2本あったところは刈り払われてなくなりましたが、いつも観察する水田まで行くと何本かありました。
ケキツネノボタンはキンポウゲ科(Ranunculus Ceae)に属します。
この科を代表するキンポウゲという植物は図鑑には載っていません。
キツネノボタン科とかウマノアシガタ科とかいわれたこともあったような記憶もあるので、調べると、
キツネノボタンもウマノアシガタもケキツネノボタンにとてもよく似た植物で、
タガラシをふくめてすべてキンポウゲ属(Ranunculus Gen.)であることがわかりました。
いづれも、図鑑の記載には、ありふれた野草とあります。
タガラシは水田によくみかけますが、前の2種にはなかなかお目にかかれませんでした。
数年前、山間部を旅した際、ウマノアシガタの方は、見かけて写真に撮ったことがあり、その後、
それらしいものを六会の日大構内でも見かけて写真を撮りました。キツネノボタンは、まだ見つかっていません。
どちらも花はそっくりですが、毛のない点が、ケキツネノボタンとまったくちがうので、はっきり区別できます。
ウマノアシガタの花が八重咲きになったものが「金鳳花(キンポウゲ)」という古典植物
(江戸時代以前からの観賞用栽培植物の称)だということもわかりました。
植物の和名を定義した明治の頃の学者にとっては、当時一般によく知られた金鳳花(キンポウゲ)をこの科の代表とするのは、
ごく当然のことだったと想像できます。科名があるだけで種名が図鑑にないわけがこれで納得できます。
ウマノアシガタとキンポウゲは同種なので、通り名(通称)を科名にしているわけです。
なお、花屋で見かけるラナンキュラスというきれいな鉢植えの草花もこの仲間です。
長野県の高山には、ミヤマキンポウゲというウマノアシガタそっくりで、10cmほどの高山植物を普通に見かけます。
今年の夏季活動が楽しみになります。
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