山いっぱいのツツジを見ようと、4月下旬のある日、葉山国際村から秋谷海岸へ山道を下りました。
ずっと以前には何回か歩いたのですが、子安の里から、近年整備された関渡(セキノワタリ)川遊歩道という新しくできた道を下りました。
この遊歩道は、集中豪雨で荒れやすい小さな川の上流部を保全し、自然の植物が生育できるようにつくられた公園です。
急流部の両岸には巾のせまいガレキを敷きつめた護岸部分があり、そこには帯状に延々と続くセイヨウカラシナの大群落ができていました。
造成されてまだ日が浅いので、この土地固有の自然の植物がすみつかないひとときをセイヨウカラシナという1〜2年草が補っているのだと思います。
少し下流の平坦なところは木道になっていて、ニリンソウのなど自然の水辺の草が見られます。
遊歩道が終わって一般道路へ上る短い坂道の斜面で、なが年さがしていたキツネノボタンをとうとう見つけました。
一目見ただけで、ウマノアシガタとは葉の形が、ケキツネノボタンとは毛のないこと、葉の広がり方やつや(がある)がちがう、
ということから、これこそキツネノボタンだと判断しました。30年前、第1回科学少年団活動で、野草の説明をした中で、
毒草の第一にあげたケキツネノボタンの良く似た別種で、それ以来あちこち探してもなかなか見つかりません。
どこにでもある普通の種類だろうと思っていたのに、実物に会うのになんと30年もかかったのです。
笑い話のようで、なさけない現実の話です。その後、総合図書館で「プラントハンター(命を懸けて花を追う)西畠清順著」
という本を見つけて借りました。いま現在、生きた植物に関するいちばんの事情通の話を読んでみたいと思ったからです。
プラントハンターとは、17〜8世紀ヨーロッパの王侯貴族や大富豪の依頼で世界中の珍しい植物を求めて冒険し、
苗や種を持ち帰った人たちで、シーボルトもその一人、黒船には二名のハンターが乗っていたそうです。
私は写真に撮るだけで、持ち帰りませんが、探し求め続けていること、そして会える喜び……という体験が共通すると感じました。
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