前に書いた記憶(2011年10月号)がありますが、庭での発見その続き、をぜひ読んでいただきたいと思い、筆をとっています。
夏活動の次の日(8/6)、庭を見ると、前日(8/5)雨の中でバスを降りて見た八嶋湿原のニッコウキスゲとそっくりの花が
ちょうどよいタイミングで庭に咲いているところでした。もちろんそれはニッコウキスゲではなく、ヘメロカリスの一品種なのですが、
この夏の猛暑の中で、そこだけは高原の涼しさを感じさせる花で、しかも、とてもよい香りがしました。
ニッコウキスゲの仲間(ヘメロカリス属)の植物で、香りのあるのはユウスゲとムサシノキスゲ(調布浅間山特産)だけで、
従来の園芸品種にはなかったと思います。おととし咲いた後、去年は咲いた記憶がなかったのも今年の開花が強く印象づけられたのかも知れません。
この日は雨模様でしたが、次の日(8/7)にも咲きましたので写真に撮りました。さらに驚いたのはその次の日(8/8)です。
前日まで次々と花を着けいた花茎はすべて咲き終わりましたが、その根元に、地面から直接花が出て咲いているのです。
花首から折れて落ちたものかと思って拾い上げようとしたほどです。こんな咲き方を私が見たのは初めてです。
サフランを含むクロッカス属以外には身近な実例を知りません。(ミョウガも地面から咲きますが、地面から出た短い花茎に花が着きます)。
一日置いて、また、地面から花が咲きました。傷害等による特殊な例かも知れず、来年も見られるという保証はありません。
これは、私にとっての「ナニコレ珍百景」です。ところが、ちょうどその前後数日間、忙しくしていて、うっかり撮影しそこなったのが悔やまれます。
撮りおき写真を調べると、過去にもこの株は8月咲で(2011年は8月9日開花)、8月28日開花の写真も残っていました。
これはハマカンゾウと同じ時期です。ヘメロカリス(同属園芸種の総称)の中で8月咲のオーガストプリンスという品種は背が高く、
花茎の先が枝分かれして多花性小輪で、昔、それに似たものを見た記憶がありますが、今年咲いたニッコウキスゲに似た株はそれとは全く趣が違います。
しかし、問題はこれからです。新しい園芸品種は、数年間テスト栽培して、その形質が、遺伝的に安定したものであることが、
新品種に必要な条件なのです。特別丈夫なものでなければ、手をかけてやらないと、いつのまにか消滅してしまいます。
現在、私の庭にある多くの花は、すべてこの半世紀の長年月を生き抜いてきたものばかりですから、この新品種を持続させるには、
特別に面倒をみる必要があります。この仲間の植え替え時期は9月と3月ですからすぐにも取りかかる必要があります。
ちなみに2011年10月号で紹介した櫓ヤグラ苗を生じる品種の苗は、1年かけて10本ほどつくったのですが、
そのあと鉢植えのまま放置して、2年たった今では、かろうじて生きているだけの状態です。
実行力のなさを年のせいにしてはいけないと思いつつ、庭の花に向かっています。10月に入って、最新の私の発見は、
10月6日の日曜、歩きに出かけた柿生緑地の北、片平の広い庭の家で、10月に咲いているキスゲを見つけたことです。
撮った写真をあとでよく見て気がついたことは、一枚の花弁にうっすらと逆八の字の模様が見えるので、このキスゲには、
ハマカンゾウの遺伝子が入っているのかも知れないと思いました。今年も10月になって、たくさんの花をつけたハマカンゾウを見て、
昔(35年前)、ヘメロカリスを熱心に栽培したことを思い出しています。
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