このレポートは、かたつむりNo.398[2014(平成26)05.11(Sun)]に掲載されました

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身近な植物、今むかし
運営委員 鈴 木 照 治
 
湘南台駅西口大通り(セイヨウタンポポ)
■湘南台駅西口大通り(セイヨウタンポポ)
湘南台、国道と線路の間の大通り(シロバナスミレ)
■湘南台、国道と線路の間の大通り
(シロバナスミレ)
六会小学校近くの大通り(スミレ)
■六会小学校近くの大通り(スミレ)
少年の森近くの農道(雑草に覆われている)
■少年の森近くの農道
(雑草に覆われている)
雑草の多い舗装道路(除草されないまま)
■雑草の多い舗装道路(除草されないまま)
 科学少年団の始まった30年ほど前(40歳の人が小学5年生の頃)と今とでは、身のまわりの自然は、かなり変わっています。 都市環境の整備が進んで、それに伴う環境の変化が、自然を遠くへ追いやったともいえます。 以前でしたら、家を出ればすぐ、道ばたにたくさんの雑草や、ときには野草も見ることができましたが、今では、雑草の生えているところも少なくなり、 特に野草――自然に近い状態の植物――を見るためには、それなりの場所まで足を運ばなければならなくなりました。 最近、私は、「小田急沿線自然ふれあい歩道(全70コース)」というのを片っ端から歩いています。 各駅に用意されたイラスト入りの地図に、神社や寺、公園など見所や説明が載せられ、ウォーキングに便利です。 どこの場合も、駅から最初のポイントまで5〜15分は商店街や住宅地を歩くことになります。 駅に近い住宅地は、庭も道路も隙間なく舗装され、雑草の生えた道はなく、庭木や鉢植え、ミニ花壇が見られる程度になり、 自然に生えた植物を見ることが難しくなりました。 広い境内を持つ神社や寺院、各市の看板になるような自然公園まで行けば、ようやくいくらかの目ぼしい植物を見ることができます。 最近の工法では、家をとりまく宅地には、草1本生えないようにすき間なく、完全にシールされるようになったため、道も宅地も、 雑草の生育は不可能になりました。しかし、十数年もたつ間には、地震その他の原因で、わずかの亀裂、細孔が生じ、雨水がしみ込むようになると、 最初に雑草が1本だけ生え、それが成長して、生え際(ギワ)に土埃(ホコリ)がたまると、ほかの雑草も生えて、しばらく除草されないと、 いつの間にか雑草の多い道になります。
 駅前の繁華街でも、よく見ると、柱の根元や敷石の端などの、わずかなすき間に生えている植物を発見することができます。 これは、植物にとっては、岩石砂漠と同じ環境状態にあるといえます。一方、少年の森近くでは、昔ながらの雑草が生きていました。 大づかみにいうと、30年前までの雑草の世界は「草原」に譬(タトエ)られ、現在の街中の雑草は「砂漠」さながらの世界を顕(アラ)わしていることを示します。


雑草の多い山道(小田急自然ふれあい歩道)
■雑草の多い山道
(小田急自然ふれあい歩道)
雑草の生えた住宅地(古い舗装)
■雑草の生えた住宅地(古い舗装)
雑草の生えない住宅地(新しい舗装)
■雑草の生えない住宅地(新しい舗装)


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