街中の道を歩いているだけでは、なかなか珍しい野草を見つけることはできません。
しかし、住宅地を少しはずれて、道が自然の野山にさしかかったとたん、道路の端から1mにも満たない場所にも、
ふだん見かけない野草を発見することがあります。ゴールデンウィークはフジ、チューリップはじめ、多くの栽培植物が咲きますが、
この時期は野草も開花のピークを迎えます。「小田急自然ふれあい歩道」の案内には、新百合丘駅の北2kmの「向原の森公園」には、
シロバナマンテマという見たことがない野草が見られると、カラー写真入りで紹介されています。
以前歩いたところなので、もう一度行って写真を撮りたいと思いましたが、別の予定がつまっていて、まだ行くことができません。
ようやく行くことにしましたが、まだ花が残っているか心配です。牧野植物図鑑にはマンテマ(ナデシコ科)とサクラマンテマの2種類が載っています。
シロバナマンテマというのは、花びらの中央に大きな斑点のないものということで、どちらもヨーロッパから江戸時代に渡来した栽培品の野生化したものの生き残りで、
今では珍しいもののようです。あらためて案内パンフをよく見ると、サクラマンテマ(ふくろなでしこ;栽培品)らしいピンク色の花が写っています。
きっとパンフの作者は、シロバナマンテマの写真が手に入らず、かわりに近縁のきれいな花を見出しに使用したのでしょう。
STAP細胞論文で批判されたコピーアンドペーストの仕上げ方です。ちなみに、観光案内の本やパンフの99%はcopy&pasteです。
著者名のある書下ろしの案内書や写真集は高価で、手に入りにくいのです。やはり、現場へ行って、本物の写真(オリジナルの)を撮りたくなりました。
「図鑑に載ってない植物が、ここにはあるよ」と確かめられれば、珍しい花が咲くという観光案内の宣伝にもなると思います。
さて、つい先日、偶然、散歩中に、このシロバナマンテマを、道ばたで見つけました。
場所は、南伊豆町の国道(136号)から子浦漁港に入る交差点の近くで、小さな神社の裏手に当たる削られえた斜面で、
舗装道路の端から1mも離れていない、草地です。今までに見たことのない植物に会うのは、とてもうれしいものです。
百合丘のシロバナマンテマにますます会いたくなりました。
(運営委員 鈴 木 照 治)
|