各地でアジサイの見頃を迎えたとテレビで紹介されたので、遠藤のアジサイを見に出かけました。
例年、6月中旬が見頃なので、一週間遅い訪問でしたが、今年はどの株も見事に咲きそろっていました。
各地のアジサイの観光名所は、必ず原種のガクアジサイと古典品種のホンアジサイ(オタクサ)を植えてありますが、
ここ遠藤では、一本もなく、古典品種ではウズアジサイだけがあります。
探してみるとウズアジサイの枝変わりと見られるホンアジサイが見つかりました。
何年か後には、もう少し大株になると想像されます。少し足を伸ばして、遠藤宝泉寺を訪ねました。
少年団発足の1983年秋、現地集合で野外観察をしたところで、フクロウの羽が見つかった深い森だった山でした。
その頃はまだ、市の天然記念物の少し変わったヤマザクラ(オオシマザクラに似ている)の大木がありましたが、
まもなく枯れてなくなって、もう30年になります。
本堂の左手前にある同じ種類の若木が、今ではすっかり成長して見事な大木になっています。
藤沢には、ほかにもオオシマザクラ風のヤマザクラ(若芽が緑色)が見られましたが、今ではここだけになったようです。
六角柱型の六地蔵の周りに菩提樹に並んで今まで気付かなかった黄色い花を咲かせる木を見つけました。
家に帰って図鑑を見ると、モクゲンジ(ムクロジ科)とわかりました。藤沢で初めて見る植物です。
もう少し知りたいと総合図書館に行くと、新しくAPG牧野原色植物大図鑑T・Uが入っていました。
私にとっては、待ちに待った図鑑なので、早速手にとって、モクゲンジを引いて見ました。
原色図鑑のありがたいのは、実物そっくりの姿を見せてくれることです。
葉がセンダンに似て、球形で黒く硬い種子は数珠(ジュズ:仏教の礼拝に用いる)にもするので、
センダンバノボダイジュともいいます。すぐ隣に図の出ているムクロジのほかに、同じ科にどんな植物があるのかを見ると、
すぐ後に続いて出てくるのは、イロハモミジなどカエデの仲間が連なっています。
つまり、カエデ科はなくなって、カエデ属はムクロジ科に統合されたのです。
かたつむり319号(2008年10月)で、リュウゼツランがヒガンバナ科から新設のリュウゼツラン科に変わったこと、
391号(2013年12月)で新しい植物分類(遺伝子解析による系統分類)に触れましたが、
全体的なことは私には何もわかりませんでした。分類学の世界では、もう20年も前から標準的に使用されているのに、
図鑑も辞典も図書館にないのでは、一部の専門学者を除けば、一般の人(科学者、教育者を含めて)は、
まったく知らないままというのは悲しい限りです。植物を調べるのには、図鑑は必要不可欠のものです。
願わくは、この「APG牧野原色植物大図鑑T・U」が、すべての小・中学校
(教文センター)に早急に備えられることを期待します。学生版が早く出るといいですね。
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