箱根登山電車の終点強羅一帯は、駅の近くを除けば、会社の保養所のようなリゾート施設がほとんどのようで、緑の多い町並みです。
道路の周りはすべて草木に覆われています。
道と建物の間には、かなりの距離があって、あいている土地にはごく自然に木や草が茂っています。
半世紀前まで、都市近郊の住宅地では、これと同じような風景でした。
9月中旬に訪れてみると、道ばたのいたるところに白い集合花が、きれいに咲いていました。
近寄ってよく見ると、ヒヨドリバナの仲間で、フジバカマそっくりで花が純白のマルバフジバカマという外来植物でした。
数年前、近所(藤沢)で植栽されていて、珍しいと思っていましたが、その年限りで姿を消しました。
それが、強羅のような高冷地で、元気に存続しているのを見ると、これが平地でも多年草として毎年連続して育ってくれるとよいのだがと思うのです。
私の家のフジバカマは、落葉樹の下で、夏の強光を避けるためか、放っておいても十年以上も元気に育っているからです。
10月上旬に京都南部の浄瑠璃寺を訪ねると、参道のわきにマルバフジバカマが咲いていました。
標高が低くても、条件次第では、元気に育つのだから、藤沢でも存続できると確信しました。
最近になって気がついたのは、山道を歩いていて、野草に混じってちょっと珍しい外来植物が見つかるということです。
かたつむり6月号でシロバナマンテマという江戸時代に輸入されたきれいな花を咲かせる野草を紹介しましたが、
逗子ではあちこちにはびこっていると知らせてくれた人は、この草にあまりいい感じを抱いていないようです。
たしかに、外来植物と聞いただけで、進入してきて野草を追い払い、環境を悪化させるというような悪いイメージをもちますが。
何もない裸地を緑化してくれるのですから、在来種と仲良く共存する限り、そのままでもよいのではないでしょうか。
6月、大庭遊水地での野外観察で見たアカツメクサやアカバナユウゲショウなどは、そんな悪者ではないように思えます。
昨年夏活動の美ヶ原(標高2000m)では高山植物に混じってヒメジョオンが咲いていましたが、
まわりを制圧するほどのいきおいではありませんでした。
このように、外来植物の中には日本在来の野草に混じって、仲良く暮らしている植物もあるのだということに、今では納得しています。
これが野草の世界の国際化なのでしょう。
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