一日目、大釜地区、フズリナ石灰岩のとれるところは、深い山の上です。
バスを降りて舗装のない山道をしばらく登ると、少し開けた場所に出ました。
この先は少人数に分かれて急な山道を登るため、残りの班は、しばらく待つことになります。
まわりに生えている草は、町で見かける雑草とはかなり様子が違います。
周囲はヒノキなど針葉樹の植林でしたが、手入れされているので下生えの草がよく生育していました。
山地に行かないと見られないイヌトウバナ(トウバナの仲間でやや大ぶりで白い花)
とハクサンフウロ(ゲンノショウコの仲間で大きい白い花)が目につきました。
三日目の早朝散歩で温泉源を見に行く途中の山側から、ミズナラが道に枝を延ばしていました。
藤沢の山にはよく似た仲間のコナラ(同属)が見られます。(コナラより、葉脈の数が多く、葉柄がありません。)
湯の湖畔の砂礫の湿地にはアブラガヤ1種だけの群落がありました。
ホテルにもどる途中の公園にヤマボウシの木が赤くなり始めた実をつけていました。
三日目は記念写真を撮ってから出発しました。はじめは湯ノ湖の岸に沿って林の中を歩きました。
ちょうど手の高さにアスナロ(ヒノキに似て、球果が異なる別属、ヒメアスナロは庭に植栽)の枝が伸びて、
間近に葉を見ることができました。 湯滝に沿った急斜面を下り、湯の川に沿って林の中を歩きました。
渓谷の流れに洗われる岸の岩に、細く伸びた葉がぎっしり生えています。これはセキショウというサトイモ科の植物です。
湯の川を離れ、戦場ヶ原に近づくと、シラカバの林です。湿原の周囲に最初に生えてくる樹木はシラカバです。
やがて木道になり、湿原に入ると一面のスゲで根元は浅い水につかった状態で生育できる植物は限られています。
家族連れで来た人が「あれがヤチボウズだ」と教えていました。
若いころ、戦場ヶ原に行けば、道路沿いに谷内坊主(水面に首から上の頭のように突き出たスゲの株)が見られたのが思い出されます。
今回も、一か所よく見られるところがありましたが、写真に撮れませんでした。
このスゲはヤチスゲだと思いますが、確かめようがありません。
木道が終わりに近づくころ、道端に大きな木の根がオブジェのようにかざってありました。
地下水の移動がない湿原では、深いところは酸素不足で、シラカバの根が浅く地中に広がる様子を見せる展示なのでしょう。
半世紀も前、この辺り一面に、ニッコウキスゲの大群落がありましたが、今回は一本も見られなかったのが残念です。
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