このレポートは、かたつむりNo.419[2015(平成27)11.15(Sun.)]に掲載されました

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天空庭園の植栽から
運営委員 鈴 木 照 治
 
開通直前の地下高速道路
■開通直前の地下高速道路

天空庭園の一部
■天空庭園の一部

 2月下旬のある日、3月7日に開通する高速道路、目黒品川間環状1号の地下トンネルを歩くイベントに参加しました。 地下鉄池尻大橋駅近くの大橋ジャンクションは地上3階〜地下3階間をらせん状に回って高架から地下に入ります。 その空間の高いところを利用して、「天空庭園」という緑の公園ができていて自由に、もちろん無料で散策できます。 私の関心は、公園の緑の種類が何かということです。集合の1時間前に行って、エレベーターを使い、天空庭園の一角に入りました。 そこは、広い帯状の緑地が、ゆるい上り坂で広がりながら、はるか向こうの広場に続きます。 外壁に沿って3mほどの高さの見たことのない常緑樹の植栽は、ソヨゴという名札がついていました。 記憶に残っていたのは、数年前、岡山県の鬼の城(古代城址)に行ったとき、途中の山道でソヨゴの林があったのを思い出したからです。 関西、四国、九州の常緑林は多様です。岩がちの乾燥しやすい山地では丈の低い常緑樹林が成立します。 東京都の真ん中に作った天空庭園には、ぴったりの植栽であることがわかります。図鑑では中部以西に分布するとなっています。 近ごろの植栽には、このように、もともと関東には自生していない木を用いることが多くなりました。 藤沢でも、以前のように安直に外来樹種を使わずに、できるだけ日本に自生する樹種を植栽するようになりました。 それに乗じて、関西の木も多用されています。 古くから(明治、から昭和にかけて)のクスノキがその例ですが、ここ30年ぐらいでは、サカキ(関西に多いが、今ではあちこちの神社に植えられる)、 ハマヒサカキ、シャリンバイ、ヒメユズリハ(どれも、もともと静岡より西の海岸に生えるものですが、江の島近辺には多く植栽されています)、 アベマキ(これも中部以西のものですが、藤沢では公園に植えられている)、など、最近の都市緑化の進め方がよくわかります。
ソヨゴの列植
■ソヨゴの列植

ソヨゴの花(5月)
■ソヨゴの花(5月)

クロガネモチ(同属、関東以西)
■クロガネモチ(同属、関東以西)

ソヨゴ岡山県鬼の城
■ソヨゴ岡山県鬼の城

タラヨウ(同属、近畿以西)
■タラヨウ(同属、近畿以西)

シャリンバイ片瀬海岸(静岡以西)
■シャリンバイ片瀬海岸(静岡以西)

ヒメユズリハ江の島(静岡以西)
■ヒメユズリハ江の島(静岡以西)





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