植物観察、旅の楽しみ | ||||
運営委員 鈴 木 照 治 | ||||
単調な景色や、同じような植生が続くところでも、そのつもりなら、珍しい植物を見つけることはできます。 名前を知らなくても、自分流で勝手に名前をつけてメモしておけば、りっぱな研究記録になります。 近年のデジカメは安価、軽量、簡単に写せるうえ、音声も録音できるのでメモ代わりに活用できます。 町並みからはずれて、いよいよ野草に近づいたという気配は、目に入る雑草群落でわかります。 野山ならノコンギク、田園ならギシギシが見られるようになるのが目安です。林縁であればタチツボスミレやホタルブクロも目印になります。 歩く早さなら、なれれば野草が目に留まるようになります。 東北の観光キャンペーンに協力して岩手県あたりを旅したとき、たくさんの野草が目に留まりました。 中には関東地方には見られない植物も含まれます。 東北地方の野山の植物の群落構成は、関東地方のそれとは少し違うように思います。 藤沢を含む関東平野の、標高500m 下は、暖温帯(常緑樹林帯)です。 これに対して東北地方の平地は、冷温帯(夏緑広葉樹林帯)で、同じ野草の群落でも、緑が鮮やかで、元気よく育っているように見えるのです。 もっとも、関東といっても南部の藤沢での印象ですから、こちらのほうが野草にとって環境がきびしいのだといえるでしょう。 つまり、同じ雨量でも、気温が少しでも低いほうが、水分が失われる量が少ない分だけ、環境はより良好な状態になります。 そんなわけなのかどうかわかりませんが、東北地方の内陸部、山間部に行けば、 今の藤沢(南関東)では珍しくなった野草の元気な姿を見る機会が多くなるのだと思います。 一昨年(2015年)の夏活動で行った奥日光のあたりや、昨年(2016年)宿泊した河津町梨本も、東北地方と同じく、冷涼な夏で、 多くの野草が見られました。神奈川県内でも、少し山に登れば、こうした植生に出会うことができます。 箱根や大山など、少し足をのばして元気な野草に接することを薦めます。 |