雷を捕まえる(3) | ||
凧→避雷針→ロケット→レーザー | ||
運営委員 高 木 茂 行 | ||
ロケットによる雷の実験は、短期間に多くの雷を落とすことができ、
まとまったデータを集中的に集めることができた。しかしながら、
ロケット誘雷は火薬を使うため法律上の規制が多く、いつでもどこでも打ち上げるわけにはいかない。
また、ロケット自体は発射で粉々になるが、誘雷しない時にはワイヤーが落ちてくる可能性もあった。![]() このような強いレーザーをレンズで集めると、レーザーで空気が瞬間的に温められ、 雷と良く似た状態になる(レーザープラズマ*)。空気に電気が流れる状態だ。 雷雲に向かってレーザー放出すれば、このレーザープラズマに導かれ、雷を誘導(ゆうどう)できる。 ロケットのような火薬も要らなければ、ワイヤーもいらない。 レーザー誘雷に最初に挑んだのは、アメリカの空軍研究所だった。 1979年に、山頂からレーザーを放出して500m上空で数メートルに及ぶレーザープラズマを作ったが、 誘雷には至らなかった。日本では、1980年頃から室内での実験が行われ、 1994年から1999年にかけて室外での実験が行われた。 実験は、ロケット誘雷と同じように冬の雷をねらって北陸の福井県美浜町の嶽山で行われた。 ![]() ![]() これまで、3回にわたり日本での雷の研究に関する新しい試みを書いた。 これを読んで皆はどう思っただろうか? いろんな感想をもったかも知れないが、 科学的に新しい試みに失敗は付きものだということ、 新しい試みではそれまで他人がやった実験結果を参考にしていることには、誰もが気付いただろう。 避雷針は雷が電気とわかったことで作られたし、 ベンジャミンの凧の実験をヒントにロケットに雷を落とす方法が考えられた。 ロケット誘雷が冬の実験で成功したことをもとに、レーザー誘雷も冬の雷で実験が行われている。 学校で習う理科の授業は、こうした新しいことにチャレンジするために最も重要な内容だ。 レーザー誘雷でレンズによりレーザーを集める方法も、学校でやる太陽光をレンズで集める実験の応用だ。 しっかり勉強して、いずれは周囲をあっと驚かせるような新しい何かに挑戦して欲しい。
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