小学生には負けられない。目指せ、日本百名山!(1) | ||
− 山の科学(1) 気圧 − | ||
運営委員 高 木 茂 行 | ||
皆さんは「日本百名山」というのを、知っているだろうか?
山好きの作家 深田久弥(フカダ キュウヤ)さんが日本全国の山を300ほど登り、
その中から100の名山を選定して出版したものである。
この本の魔力にとりつかれ百名山を目指す人は多く、高木運営委員もその一人である。
そういった話題もあり、これからが山のシーズンでもああるので、簡単な山の科学を紹介。 まずは、気圧。その前に気圧とは何か?簡単に言ってしまえば、地球に存在する空気の重みだ。 僕たちは、身体の全体に空気の重みを受けている。 空気なんか軽くて力を受けないなどと甘く見てはいけない。 台風の時に受ける風の強さを思い出して欲しい。 生まれた時から気圧の中にいるから気にならないだけで、実は大きな力を受けている。 気圧を実感するために、こんな実験をしてみた。この5月連休に標高1724m両神山(図1)に登った。 山頂でペットボトルのお茶を飲んで1/4ほど残し、ふたを閉めたまま登山口まで下山した。 もちろん途中で喉は渇くから、別のペットボトルも用意しておいた。 さて、図2は下山した時の写真である。 ペットボトルには山頂での気圧の空気が入っていて、 登山口での高い気圧に押されてへこんでしまっている。
この2つの実験から、山の高さに応じて気圧が下がることがわかる。 では、どれくらい下がるのだろうか。 平地での標準の気圧は、1013hPa(ヘクトパスカル)である。 これに対して、1000m高くなる毎に約100hPa低くなる。 だから、両神山の山頂では約170hPa下がって約840hPaになっていた。 この170hPaの差で、ペットボトルがへこんだり、スナック菓子が膨れたりしたのだ。 では、日本で1番高い富士山山頂での気圧はどうなるか? 富士山の標高は3776mだから、気圧は約380hPa下がり、平地の2/3になってしまう。 気圧というのは空気の重さと書いてきたが、それは同時に空気の密度でもある。 だから、富士山山頂の空気の密度は平地の2/3しかなく、人間に必要な酸素も2/3になる。 同じ量(体積)の空気を吸い込んでも、その中には平地の2/3の酸素しかなく、息苦しくなったり、 場合によっては高山病になったりする。3000mを越えるような山に登る時は注意が必要だ。 さて、山で天気が悪くなると雨具を使って、山小屋や登山口まで歩かねばならない。 頂上での美しい景色も見られなくなる。その日の天気はとても重要だ。 次回の「かたつむり」は、天気に関連する雲の話を紹介する。 (つづく)
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