このレポートは、かたつむりNo.293[2006(平成18)12.22(Sat.)]に掲載されました

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10月活動を振り返って(1)
−名前の由来に感動 秋の野草−
運営委員 高 木 茂 行
 
ウバユリ
■ウバユリ
 10月15日(日)に科学少年団の月間活動があり、 小田急線の鶴間駅から高座渋谷駅まで引地川に沿って歩いた。 当日は晴天に恵まれ、十分に植物を観察することができた。
 その1週間前の10月8日には運営委員が集まって同じコースの下見をした。 高山先生はデジカメで写真をとり、「泉の森付近のフォトビンゴ」を作られた。 高木もこれに参加し、高山先生に教えていただきながら写真を撮った。 その時のメモと写真を持って図書館に行き、印象に残った植物を調べた1-4)。 今回は名前の由来が面白い植物についてまとめた。
 泉の森に入ってすぐのところ「森のはらっぱ」付近にあったのが“ウバユリ(姥ゆり)”(図1)。 実がつく頃には葉が落ちるので、 それを姥(うば)の歯が落ちるのに例えて“ウバユリ”と名づけられている。 実際には、葉の落ちたもの落ちないものが混在していた。 落ちたものは長く延びた茎の上に実だけがあり、 その姿が印象的だった。ところで、この“ウバユリ”の花は何色だろう?
 「日本の野草(夏)」を見ると白い“ウバユリ”花の写真が載っている。

 「森のはらっぱ」から少し歩き、あじさいの道が太い道と合流するところには “ミズヒキ(水引)”が生えていた(図2)。 高山先生からは『上側が赤、下側が白で、これを紅白の水引にたとえています』と教えていただいた。 確かに表から見れば赤く、裏側からみると白い。 下見の時は納得したのだが、団員から『紅白の“みずひき”ってなに』と聞かれ、 ミズヒキ&水引 「お祝いの時の封筒にある赤と白ののし」と答えたのだが十分には納得がいかなかったようだ。 そこで、図3に水引の写真を載せた。これで納得していただけるだろうか?

キツリフネ
■キツリフネ
 野外教室広場の前に咲いていた黄色い花は“キツリフネソウ”(図4)の花。 ぶら下がる花を舟に見立てて付けられた名前で、花を側面から見ると舟を吊り下げたように見える。 漢字で書くと「吊り船草」あるいは「釣船草」。 黄色くて小さな花で「泉の森」のパンフレットにも写真が載っている。 団員の皆さんは、黄色い花よりその実(み)に触って種を飛ばすことに興味があったようでだが。

 せせらぎ広場に咲いていた小さな花は“ゲンノショウコ”(図5)。 土から上の部分を天日で乾燥させて煮て(煎じて)飲むと、 すぐに効くことから『現(げん)の証拠』の名がついている。 漢字では書くと、『現証拠』または『現の証拠』。
「日本の野草秋」で調べると、花の色は東日本で白色が多く、西日本では紅紫色が多いと書かれている。 泉の森で咲いていたのは、この本の通り白い花だった。 薬としての使いからなどをインターネットで調べると5)、次のように書かれていた。 『ゲンノショウコは、飲みすぎても便秘・下痢などの副作用がなく、優れた健胃調整剤といえます。 食中り(しょくあたり)、下痢、慢性の胃腸病、便秘
ゲンノショウコ
■ゲンノショウコ
に効き目があり、煎(せん)じる場合は、時間をかけて十分煎じる必要があります』
今回紹介した野草は、名前が植物の特徴を上手く示している。 これを理解しながら先日のフォトビンゴをもう一度見直せば、 植物の名前がしっかりと覚えられるだろう。



参考文献
1)杉村 昇:野の草花図鑑2,偕成社 (1992)
2)山田 卓三:野草大百科,北隆館 (1992)
3)菅原 久雄:日本の野草「夏」,小学館 (1990)
4)菅原 久雄:日本の野草「秋」,小学館 (1991)
5) e-yakusou.com

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