このレポートは、かたつむりNo.302[2007(平成19)7.1(Sun.)]に掲載されました

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食べるだけじゃなくて覚えよう春の野草(2)
− 奥が深い 名前の由来 −
運営委員 高 木 茂 行
 
カラスノエンドウ(花)
■図1 カラスノエンドウ(花)
カラスノエンドウ(実)
■図2 カラスノエンドウ(実)
ナズナ
■図3 ナズナ
カタバミ
■図4 カタバミ
シロツメクサ
■図5 シロツメクサ
 春の草花は、暖かさに誘われ外に出た人々の目にとまる。 花が綺麗だったり草の形が独特だったりすれば、人々の心を捕らえる。 いくつかの名前が候補となり、最後には皆が納得する名前に落ち着いたのだろう。 だから、名前の由来を知ると、なるほどと頷いてしまう。由来とともに花の名前を覚えてしまおう。
 まずは赤紫の小さな花が咲くカラスノエンドウ(図1)。 この名前については自分なりの考えがあった。 実の形がエンドウマメに似ている。 人が食べるエンドウマメは大きく、こちらの実はカラスが食べるのにちょうど良いサイズ。 そこで、カラスノエンドウと名付けた。そう考えていた。 この原稿を書くにあたって、図書館で名前の由来を調べた。 ある本には、もっと小さいスズメノエンドウに対比させカラスノエンドウ、 と書いてあった1)。 別の本には、その実がカラスのように黒くなる(図2)のでカラスノエンドウ、 と書いてあった2)。 名前の由来にもいろいろあるようだ。
 次にナズナ(図3)。三角の葉と茎の先端に咲く小さな花が特徴。 この草については、ペンペングサという別名もある。 三角の葉が三味線のバチに似ていることからついた名前だ。 ナズナの名前の由来を調べると、草の姿がなでるようにかわいいことからナデナとなり、 それが変化してナズナとなった、とある2)
 春に咲く小さな黄色い花の代表カタバミ(図4)。 カタバミといわれても、何に由来しているか見当もつかない。 この草は夜になると眠る運動(就睡運動)をして、葉を閉じるらしい。 その時の葉の一片が欠けたように見える1)。 片方の葉だけが見えるから、カタバとミからカタバミとなったのだろう。 植物の夜の特徴と捕らえて名付けるとは、その観察力に驚く。
 そして、シロツメクサ(図5)。春の野草1)には次のように書いてある。 16世紀後半にオランダからガラス器を送る際に、 ガラスが割れないように詰めた枯れ草として持ち込まれた。 その種から発芽したので「詰め草」と名付けられた。 シロツメクサについては、ペコちゃんでお馴染みのお菓子メーカが作っているチョコレートにも、 名前の由来が詳しく書いてある。 赤い箱の裏に「四つ葉のクローバ」と名前の由来が分かりやすく説明してある。
 シロツメクサが誰もが知るポピュラーな草になると、 似ている植物に同じような名前を付けることになる。 それがアカツメクサ(図6)。花の色は赤と白と異なるが、花の形や草全体の姿はとてもよく似ている。
アカツメクサ
■図6 アカツメクサ
明治時代に、ヨーロッパから牧草として入ってきた1)
 今回は、五種類の植物の名前の由来を紹介した。 その他にも、ノビル、ムラサキケマン、オオイヌフグリなどの名前の由来も面白い。 図鑑で調べてみることをお勧めする。



参考文献
 1)春の野草:永田芳男,山と渓谷社 (2006)
 2)名前といわれ 野の草花図鑑1〜5:杉山昇,偕成社 (1997)



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