食べるだけじゃなくて覚えよう春の野草(2) | ||||||||||||
− 奥が深い 名前の由来 − | ||||||||||||
運営委員 高 木 茂 行 | ||||||||||||
まずは赤紫の小さな花が咲くカラスノエンドウ(図1)。 この名前については自分なりの考えがあった。 実の形がエンドウマメに似ている。 人が食べるエンドウマメは大きく、こちらの実はカラスが食べるのにちょうど良いサイズ。 そこで、カラスノエンドウと名付けた。そう考えていた。 この原稿を書くにあたって、図書館で名前の由来を調べた。 ある本には、もっと小さいスズメノエンドウに対比させカラスノエンドウ、 と書いてあった1)。 別の本には、その実がカラスのように黒くなる(図2)のでカラスノエンドウ、 と書いてあった2)。 名前の由来にもいろいろあるようだ。 次にナズナ(図3)。三角の葉と茎の先端に咲く小さな花が特徴。 この草については、ペンペングサという別名もある。 三角の葉が三味線のバチに似ていることからついた名前だ。 ナズナの名前の由来を調べると、草の姿がなでるようにかわいいことからナデナとなり、 それが変化してナズナとなった、とある2)。 春に咲く小さな黄色い花の代表カタバミ(図4)。 カタバミといわれても、何に由来しているか見当もつかない。 この草は夜になると眠る運動(就睡運動)をして、葉を閉じるらしい。 その時の葉の一片が欠けたように見える1)。 片方の葉だけが見えるから、カタバとミからカタバミとなったのだろう。 植物の夜の特徴と捕らえて名付けるとは、その観察力に驚く。 そして、シロツメクサ(図5)。春の野草1)には次のように書いてある。 16世紀後半にオランダからガラス器を送る際に、 ガラスが割れないように詰めた枯れ草として持ち込まれた。 その種から発芽したので「詰め草」と名付けられた。 シロツメクサについては、ペコちゃんでお馴染みのお菓子メーカが作っているチョコレートにも、 名前の由来が詳しく書いてある。 赤い箱の裏に「四つ葉のクローバ」と名前の由来が分かりやすく説明してある。 シロツメクサが誰もが知るポピュラーな草になると、 似ている植物に同じような名前を付けることになる。 それがアカツメクサ(図6)。花の色は赤と白と異なるが、花の形や草全体の姿はとてもよく似ている。
今回は、五種類の植物の名前の由来を紹介した。 その他にも、ノビル、ムラサキケマン、オオイヌフグリなどの名前の由来も面白い。 図鑑で調べてみることをお勧めする。 |
1)春の野草:永田芳男,山と渓谷社 (2006)
2)名前といわれ 野の草花図鑑1〜5:杉山昇,偕成社 (1997)